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人事・労務

第52話 就業管理をきちんとしなければ好循環は維持できない

「賃金の誤解」

 ある日、遅刻の多い社員から「遅刻した時間と残業時間を相殺して、所定時間勤務したものとして処理して欲しい。前の会社ではそうしていた」と申し出がありました。どのような点に注意して返事すべきでしょうか。会員企業の人事担当長から問い合わせがありました。
 当然ですが会社には就業規則が定められており、始業、終業、休憩の時刻が定められています。さらに給与規程で一計算期間を単位として
 
(賃金の減額)
 第11条 従業員が欠勤(遅刻、早退、私用を含む)したときは、
      その欠勤につき日または時間割計算により算出した
      基本給の額を減額して賃金を支給する。
 
と定められており、始業時間(8時30分)に遅れた就業開始については減額処理しています。他方、終業時刻(5時30分)を過ぎてからの残業については、
 
(時間外勤務手当)
 第27条 時間外勤務手当は、正規の就業時間を超えて
      勤務することを命ぜられ、その勤務に服した
      従業員に支給する。
      2.時間外勤務手当の額は、その勤務1時間につき、
      勤務1時間当たりの算定基礎額に100分の125を
      乗じて得た額とする。
 
 条文どおり割増処理しています。
 本来、遅刻は遅刻として処理すべきであり、時間外勤務とは別の話です。定められた就業時間をきちんと守ることは服務規律遵守、企業人として恥ずかしくない躾の第一であり、始業時間には仕事を始め、終業時間まで段取り良く仕事を進めることの大切さをきちんと理解させましょう。始業に遅れたからその分残業すれば許されるなどと安易に考えることなど許されません。
 残業とは上司の指示命令で必要な時にだけするものであり、個人の都合で勝手に決められるものではないのです。もしもそのような相殺を一度でも認めてしまえば、遅刻常習社員の勝手な勤務は助長され、無駄な残業がさらに増えてしまいます。
 企業とは多くの仕事からなる有機的集合体であり、社員一人ひとりの仕事力の総和で成り立っています。質の悪い、だらしない勤務を助長するような遅刻と残業の相殺など避けるべきです。
 さらに半年ごとの賞与支給に際して、欠勤事由別出欠勤の取り扱いにおいて遅刻・早退・私用外出を3回につき1日欠勤扱い、1回4時間以上のときは1回を1日欠勤とみなすとする賞与支給のための出勤係数の規程が定めている目的も、良好な就業環境の維持に不可欠であり、好循環に欠かせないからです。

 

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