この数字は、日本通信販売協会(JADMA)が昨年7 月にスタートさせた「サプリメント登録制度」に登録した会員社192 社の合計売上高である。
この制度は、JADMAが定める「サプリメントの取り扱いに関するガイドライン」の普及や法令遵守、自主規制など、業界の健全化を目的としたもので、同制度の開始に伴い昨年末、登録社の実態や消費者対応などについてアンケート調査を実施した。
この調査によると、192社の取扱品目総数は5,456品目で、売上上位の素材は「青 汁」「グルコサミン」「コラーゲン」「ブルーベリー」の順となっている。
原材料・製品の安全確認については、約9 割が自社で確認していると回答。製造工場がサプリメントのGMP( 製造品質管理基準)を取得している企業は、7 割近くに上った。
一方、薬事法などの表示規制を踏まえた広告表示チェックについては、192 社中 188 社が行っていると回答。そのチェック機能は、「自社のコンプライアンス部署」が141 社、「広告媒体の審査」が95 社、「メーカー・卸に確認」が86 社となった。
健食通販は、ネットの普及で参入障壁も低くなり、新規参入プレーヤーが多い分野 である。そのため、大手メーカーや中規模の通販会社だけでなく、スタッフ数人という小さい会社もかなり含まれており、JADMA 会員の中でも、その対応には大きな差が生じている。
薬事法を踏まえた表現可能ワードは、その時々で変化しているため、コンプライアンスと販促効果の挟間で、慎重な運用が求められる業務だ。
専門のチェック機能や部署を持たず、この広告表示チェックに不慣れな企業は、自己 判断せずに、薬事法に明るく健食通販で実績のある広告代理店を選定して原稿をチェックしてもらうか、薬事法広告の専門業者に依頼するといい。
そして、その過程で、薬事法の知識と研鑽を積み上げて、自社スタッフのスキルアップを図り、外注先に頼らない体制作りを整えていくべきである。
先日も、ある健食サイトをのぞいていたら、完全なる薬事法違反の文言を発見した。 これでは、健食業界全体に悪影響を及ぼしかねない。このような事態を懸念して、JADMA では、今後、啓発とコンプライアンス強化に向けてセミナーを開催し、「非会員であっても勉強できる場を提供していく」としており、業界を主導する取り組みを強化する方針だ。
健康食品は、摂取方法をはじめとして、注意喚起表示や成分・アレルギーに関する 説明、医薬品との飲み合わせなど、消費者から様々な相談が寄せられることも多く、専門知識が必要な取り扱いの難しい分野である。新規参入組であっても、コンプライアンスの遵守と、日々の情報収集や薬事法の勉強は必須である。