日本国内のネット通販市場は、相変わらず拡大し続けている。昨年度の業種・業態別の伸び率を見てみると、とくに衣料・アクセサリー小売業が28.6%増と大幅に伸長。実店舗の方が強いとされていた分野ほど、ネット通販の存在感が急速に高まっている。
この衣料品・アクセサリー分野については、ネット購入の浸透と品揃えなどの充実が、伸長要因となっている。豊富なカラーバリエーションやサイズ展開などは、実店舗やカタログではスペース的に扱いきれない場合が多が、ネットショップでは、容易にラインナップできる強みを発揮できるからだ。このような流れを受けて、ここ数年、アパレル企業のネット化現象が、中小企業を含めて顕著になっている。
たとえば、いま話題の「バーチャル試着」もその一つの現れだ。Web 上で、商品の“ 試着”ができるシステムや、スマホ向けの着せ替えアプリも続々と登場。話題性だけでなく、売上に直結するツールとなってきている。実店舗さながらの試着体験により購入意欲を刺激し、コーディネイトによるセット買いを促進できるわけだ。
とくに、振袖やメガネといった比較的高額な商品を扱うネットショップでの活用が増加中である。雑誌広告やカタログを見でも、「詳しくはWEB で」「ネットで限定カラーを紹介」「大きいサイズはネットショップで」等々、ネットへ誘導する仕組みが定着している。
このように実店舗の優位性が弱まる中、ネット通販の革新的な利便性や物理的制約のない品揃えなどがユーザーの高い支持を得ており、この先も、ネット通販優勢の状況が続くことは間違いない。