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戦略・戦術

第222号 7.3%

社長のための“儲かる通販”戦略視点

 この数字は、直近1年間で買物をしたサイトについて、全国2万人に行った調査で明らかとなった中小通販サイトの利用率である。楽天市場などの大手モールが87.0%、大手通販サイトが45.2%に対して、中小通販サイトは7.3%で、かなり大手に偏っていることがわかった。
 
 これは、Eコマースコンサルタント協会(JECCICA)と、ID決済のPayPal(本社シンガポール)が共同制作した『中小EC企業向け・2016年EC 戦略白書』で公開されたもので、通販サイトの利用動向調査から得られた情報を基に、国内の通販サイトが抱える課題や問題を洗い出しつつ、中小通販サイトがビジネスを拡大するうえでの指針を示す狙いがある。
 
 このEC戦略白書の中で、とくに注目すべきは、なぜユーザーは中小通販サイトを利用しないのか―ということだ。その理由の1位は、「その企業のことを知らない」44.5%、2位「新規会員登録が面倒」34.4%、3位「取り扱っている商品が少ない」25.6%で、以下「セキュリティが不安」「メールマガジンを送られるのが嫌」「普段使っている決済方法が使えない」と続く。中小通販サイトで会員登録をすることにまったく抵抗がないという消費者はたった4%で、「個人情報を正確に入力しない」と回答した割合が高かった。
 
 日本では「囲い込み戦略」として会員登録をさせるのが一般的だが、米国では、強制的な会員登録をしないで済む「ゲスト購入」が主流となっている。JECCICAは、日本の「囲い込み戦略」は、個人情報の入力を嫌がる消費者から敬遠されており、“カゴ落ち”の一要因になっていると指摘している。
 
 そして“カゴ落ち”対策のポイントとして、①会員登録を強制せず、まずは1回買ってもらえるようにゲスト購入を可能にする、②カード決済の提供、③個人情報ポリシーの明記、④セキュリティ表示の明記、⑤送料等コストの明記―の5つを上げている。
 
 海外から見ると、日本のネット通販市場の「会員登録必須が主流」という現状は、どうやら“ガラパゴス化”しているように見えるようだ。「囲い込み戦略」は、リピーターを増やすためにとても重要だが、これだけに頼っていては、ビジネスとして限界があると警鐘を鳴らしている。つまり中小通販サイトは、法令順守の姿勢を明文化するのはもちろんのこと、利用のしやすさや、きめ細やかな配慮・サービスによる囲い込みが重要なのだ。
 
 消費者目線で考えれば、「商品が少ない」「セキュリティが不安」といった不満・不安は当然のことである。品揃えや信頼性は大手サイトにかなわないが、中小通販サイトにもできることはいろいろある。“カゴ落ち”対策のポイントとしてあげた上記の5 つは、短期的に実行可能なものであり、まずは消費者の不安と向きあい、安心感を与える取り組みから始めよう。
 
 
 
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