こじれたクレームを解決する法則 Part2:上級編(1)
(※エスカイヤニュース2012年1・2月号特集 寄稿文より)
1.初期対応でこじれた次は、「初期対応より客観的」な対応を
クレーム対応で初期対応つまり一対応がうまくいかず、物別れに終わった場合は、次のステップでの対応にもノウハウがあります。それを二次対応や「エスカレーション対応」と呼んでいます。一次対応では「事実に基づく論理的な対応」と「親身な対応」の両方を備えることが基本ですが、これでもお客様が納得しない場合は、二次対応に進むことになります。
一次対応の場合は、お客様に寄り添うというのが基本でしたが、二次対応では一次対応よりも客観的になることが大切です。お客様に迎合して和解を目指すことが主たる方法ではないということです。ただ、そうは言っても二次対応で冷たくなりすぎると批判を受ける危険性があるため、初期対応と同様にお客様の好感度を得るというスタンスを忘れないで対応をしましょう。
2.着地点に着地するためには、そもそも1歩だけ譲歩する。しかし、2歩以上の譲歩はしない。
エスカレーション対応では、法律に基づく「論理的な対応」が基本になるので、客観的なスタンスが求められます。法律的に勝てるのか・負けるのか、違反しているのか・違反していないのか、と判断をする事が最も大切です。いずれにしてもここまでこじれてしまったクレームを終息させるためには、それ相当の計画と、意思をもたなければなりません。エスカレーション対応の基本はまず「一歩だけ譲歩する」ことです。つまり小さな提案です。提案をすることで誠意ある姿勢を示すことができるのです。ただ、譲歩は「一歩」が限定です。おずおずと差し出した1歩の譲歩で引き下がっていただけないようでも、2歩、3歩とずるずると譲歩してはいけません。この1歩の譲歩で和解に至らないようであれば、あとはお客様の意思にお任せすることが、エスカレーション対応の基本的なやり方です。
ただしこの場合も、こちらが1歩譲歩したにもかかわらず相手が引き下がらないのはなぜか?どんな事情や理由があるのかを聞き出し、その気持ちに寄り添った言葉を使って、1歩しか譲歩できないことをやんわりと伝えるという手法が必要です。そして、1歩だけの譲歩で納得していただくこと、いえ、あきらめていただくことを目指してください。
こちらが安易に引き下がり、大判振る舞いの特別対応をすることにならないようにしましょう。
また、相手が引き下がらないからと言って、失礼な言葉や、嫌味な言葉を使わないように 必ず注意してください。本音で言えば、担当者もこの時点では、かなり腹立たしい思いがありますので、相手をいじめたくなる思いも芽生えてきますが、その気持ちを隠すようにがんばりましょう。