経済同友会、交詢社など、私はいくつかの団体に属してきた。できるだけ人間関係を広げ、それを豊かに保ちたいからだ。いくつかの勉強会にも参加している。
こうした会合で出会う方々は、企業リーダーやグローバルな企業で活躍されている方ばかり。そうした方々との触れ合いから、私は有形無形の恩恵を得てきたと感謝している。
会社の同僚とのつきあい、学生時代からの友人との付き合いも悪くはないが、これらの付き合いは、年齢や環境が似通っていて、ついつい、同質であることに甘えてしまう。
いろんな会合に顔を出し、いろんな人と付き合ってみることだ。そのうちに、人を見る眼が磨かれてきて、自分の「ためになる人」と付き合えるようになってくる。
社長になってからも、年に一回は、社外トレーニングに参加してきた。
定評あるルイス・アレン氏の「マネージャーコース」、デール・カーネギー氏の「話し方と人間関係」などのコースでは、たくさんの知己を得た。
こうして培ってきた「人財目録」は、ざっと200人を超えている。
このリストこそ、私にとって、最大の財産であるし、ひそかに誇りにも思っているものだ。
そうして知り合った方々には、不定期的にではあるが、ときどき、お互いに電話をしたり、メールを送ったりで連絡をとっている。
親しい人とは、機を見てランチを一緒にとるようにしている。夜、会おうとするとなかなか調整がつかないが、昼間なら時間をとりやすいのだ。
相手への積極的な関心を示すことを、「ストロークを与える」という。
大事な人であるなら、相手への関心を積極的に示すべきだ。そのくらいの努力をしなければ、せっかく知り合った相手との関係は育っていかない。
伊勢丹のカリスマバイヤーから福助社長、イトーヨーカ堂と転身、活躍している藤巻幸夫さんは、超多忙でありながら、こまめに手紙を書くことで知られている。
「ふっと思い出した人には、すぐに手紙を書くんです。人は案外、手紙をもらうと嬉しいものでしょう」
というのだ。
昼をはさんで二時間ぐらいの時間ができそうな日、私は知人に電話を入れ、ランチデートを申し込む。
これは、きわめて有効なストロークだと思う「都合がつかないんだ」と不成立に終わったところで、「君に会いたいと思った」という私の思いは十分に相手に伝わるはずだ。
デートが成立すれば、もっとよい。人間は不思議な生きものだ。お互い、元気な顔を見ながら一緒に飯を食う。それだけで、無沙汰が一気に消えてしまうものだ。