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- 第56回
『ハーバードの人生が変わる東洋哲学』
(著・M・ピュエット、C・グロス=ロー)
国内、海外を問わず、
行った先々で書店を訪れるのが、何よりの楽しみです。
まして、読書の秋。
書店もいつも以上に気合いが入っている感じがして、
ますますワクワクします。
初めての書店では、とりあえず店内を一周ぐるりと
見てまわります。
その時、一体どんな本が目に留まるのか?
1冊だけのこともあれば、かなり多い時もあり、
内容もさまざま。
先日、講演に訪れた新潟にて、
ある本が目に飛び込んできました。
正直、あまり読まないタイプの本です。
でも、なぜか気になる。
通常、そういう時には、とりあえず買い物カゴに
入れるようにしているのですが、
しばし考えた末に、棚に戻しました。
気にはなるものの、買っても読まない気がしたり、
あれこれ、ぐちゃぐちゃと考えてしまい(笑)
でも、帰る間際に、やはり何か引っかかるものを感じ、
引き返して買うことにしました。
結果、正解!
その一冊が、今回紹介する
『ハーバードの人生が変わる東洋哲学』
です。
あの名門ハーバード大学にて、アメリカ人には馴染みの薄いテーマにも関わらず、
なんと学内て?三番目の人気、とのこと。
孔子、孟子、老子、荘子、荀子の教え。
彼らは一体どこに惹かれるのか?
また、教授はどんな解釈をし、どんな教え方をしているのか?
半ば興味本位のような形で読み始めたのですが、
経営者やリーダーにとって、読むに値する一冊だと確信しました。
たとえば、
(毎日少しずつ自分を変える──孔子と<礼><仁>)
・孔子なら困っている友人をどう助けるか
・<礼>のレパートリーを増やす
・<仁>はまわりに伝染する
(心を耕して決断力を高める──孟子と<命>)
・人生の大きな決断で失敗するのはなぜか
・どうすれば自分で<命>を変えられるか
(強くなるために弱くなる──老子と<道>)
・気づかれずに相手を変化させる
・本当に強い人はだれか
また、
・横柄な上司がいたらどうするか
も一読の価値あり。
(「自分中心」から脱却する──荘子と<物化>)
・<道>に従わないのは人間だけ
・自発性を訓練する
(「あるがまま」がよいとはかぎらない──荀子と<ことわり>)
・問題が起きたら直せばいい
・今あるものをよくする
といったあたりは、業績拡大&改善、人材育成などに
直接つながっていく内容といえます。
2000年以上も前の東洋哲学が、
今も古びてないこと、いえ、むしろ今こそ
その知恵が一層活きてくるのでは、と改めて驚かされます。
「東洋哲学なんぞ子どもの頃から熟知している」という方も
多くいるかと思いますが、そんな方こそぜひ読んでみていただきたい。
日本人や東洋人による著作とは違う感覚の本ゆえ、
新たな発見を期待できます!
そして、東洋哲学はあまり読まない、興味がないという方には、
新鮮な目でお楽しみいただけるはずです。
仕事にも、人生にも深く通じるこの一冊、
ぜひおすすめします。
尚、本書を読むときに、おすすめの音楽は
『J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲(全曲)(期間生産限定盤)』(演奏:ヨーヨー・マ)
です。
東洋の巨匠ヨーヨー・マが、西洋の巨匠バッハの音楽を奏でる。
東洋と西洋とのコラボともいうべき、この名演とともに、
ぜひ素晴らしい読書を!
では、また次回。