特にメーカーなど、製品を作る会社の決算書において、損益計算書を補完する役割で作成される、決算書の一部となる計算書です。
上場会社に於いては、製品にかかる原価や経費を明確にして株主に開示する必要があります。製造原価の内容は、原材料費だけでなく、労務費、光熱費、その他製造経費なども含むのです。
売上高から、その製造原価を差し引いたものが、売上総利益となります。
しかし、経営サイドから見れば、本当に知りたい売上総利益は、売上から原材料費だけを引いた利益です。いわゆる限界利益とも言います。
なぜなら、製造原価報告書があると、労務費も経費も、製造原価と一般管理費に分散されます。全社の労務費を算出するにも、製造原価の労務費と一般管理費の労務費を合計しなければなりません。要は、非常に見づらく面倒くさいのです。
数字を開示するわけでもないのに、わざわざ見づらい決算書にする必要はありません。
製造部門の数字を把握したいのなら、決算書とは別に、管理会計として社内で数字を把握すればよいのです。その方が、数字を早く知ることができ、機動的に対策を打てます。
中小企業の決算書は、製造原価報告書など作成せず、シンプルな形にすべきなのです。