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社員教育・営業

第40講 事例を使ってクレーム対応の間違いと、最善の対応を学ぶ(9)
~クレーム対応を全員ができるようにするのには、どうしたらいいのか~

クレーム対応 実践マニュアル

クレームはクレームを受けたスタッフが成長するようにと個別に対応するようにさせていますが、小さかったクレームが大きくなってしまうことのほうが多いように思います。難しいクレームは各店舗の店長が対応できればと思ってはいるのですが、これも、店長によって能力の差や、適性の差がありどうしたら良いのかわかりません。クレームに組織的に対応するためにはどうしたら良いのでしょうか。

ご相談者:飲食店を6店舗程度経営していらっしゃる経営者
業種:焼肉店・和食店・中華料理店など
組織構成:本部の中に営業部や総務部などの管理部門があります。組織図で言えば、営業部の下に各店舗がぶらさがっている構図です。

現状の対応方法:店舗で発生したクレームは、店長が責任をもってある程度まで対応することになっています。
ある程度対応したけれど、こじれてしまったら本部の営業部の管理職に連絡が入ります。そこで、営業部の管理職は今後の立ち回り方を店長に指示をします。その後、店長が教わった方法で対応を進めます。
それでもおさまらない場合は、営業部の管理職、総務部の管理職が直接、お客様と会話をしたり、接触をし、解決に取り組みます。

現状で気になる問題と求めたいアドバイス:
店長が対応する前に、パートやアルバイトのスタッフがお客様からクレームを言われるという流れがほとんどですが、この時のPA(パート・アルバイト)の対応について、一元化を図りたい。


アドバイス:

(1)クレーム対応は、すべてのスタッフにやらせようとしてはいけません。クレームをロジックに理解するためのセミナーを何度も受講し、テクニカルに修得するためのトレーニングを何度も受けた者にしかできません。

(2)まずはクレーム対応担当者を決め、セミナーやトレーニングの機会があれば参加させることです。

(3)とは言っても他のスタッフもクレームに直面してしまうことがありますので、最低限の対応だけを覚えていただきます。それが、料金の問題や、システムへのご不満などでしたら「ご説明が不足しておりまして、申し訳ございません。ただ今、店長を呼んでまいりますので、少々お待ちくださいませ」と言って、呼びに行くところまでができれば良い。全員が集まっているのに料理が遅い、事前に頼まれていたことを忘れて対応をしていなかった(和室でなく洋室と予約時に言われていたのに、和室にしてしまったなど)などのクレームで、かなりお怒りなら「配慮が欠けておりまして申し訳ございません。ただ今、店長を呼んでまいりますので、少々お待ちくださいませ」と言って、店長や社員を呼びに行くところまでができれば良いのです。これまでこの場面で、PAに余計な説明をさせていませんでしたか?また、上記のようなトークを教えていなかったのではありませんか。なので、PAはいきなり叱られて、ポカンとした表情になる。そのポカンとした表情が、最も最初に相手の小さかった怒りを大きくする原因になります。

(4)PAから連絡を受けた店長か社員はすぐに、お客様のお席に行き、お詫びをします。
「せっかくお食事を楽しみにしていただいておりましたのに申し訳ございません」と相手の気持ちを組み入れたお詫び言葉を言い、しっかり相手のクレームを聞きます。

(5)その結果、対応できることは対応し、対応できることがなく、かつこちらの配慮不足やミスで発生したクレームなら、金品でサービスを提案することもやむを得ないでしょう。

(6)また、こちらの配慮不足でもなく、ミスでもなく、お客様の勝手な言い分であれば、「それはなんとも・・」「力不足で・・」「ご指摘は勉強になります・・」「この場で安易なお約束は・・」「適当なお約束をして重ねてご迷惑をおかけしたくありませんので・・」などと、困惑したトークで返事を返し、相手があきらめてくれるのを待ちます。この時に、会社側、店舗側・他のお客様との関わりの説明をしてはいけません。

(7)その後、引き下がってくださったとしても、さらに大事になったとしても、店長は早急に本部に報告や連絡をします

(8)この時点でクレームが納まっていなかったら、ここからは本部の人間が、店長からバトンを受けて、直接対応をします。もう、ここからは店長は対応しなくてかまいません。

(9)つまり、何が何でも、解決まで店長が対応するという考えは間違いです。本当に解決ができるかどうかの問題は、バトンタッチを受けた本部の力量にあります。

(10)今からお客様と直接対応をする本部の人間は、この章のアドバイスの最も最初に申しあげた『クレームをロジックに理解するためのセミナーを何度も受講し、テクニカルに修得するためのトレーニングを何度も受けた者』でないといけません。

(11)つまり、会社の中でのクレーム対応のエキスパートが担当しなければいけません。
役職があっても、現場経験が長くても、クレーム対応のロジックとテクニックを習得している者でないと必ずと言っていいほど失敗します。

(12)このクレーム対応エキスパートがお客様と直接対応をした結果、会社の各部門が取り組まなければならないことや、会社の解決への決断が迫られることになるかと思います。その時に、このエキスパートのイニシャチブのもと、会社がひとつひとつ対応結果を出していくことが、まさに、『組織的に対応する』ということになるのです。

(13)『クレーム対応を組織的に対応する』ということは、全員がクレーム対応ができることではなく、クレーム対応のエキスパートをリーダーとし、その者から投げかげられたお客様の声を基にした問題を、いかに各部門が、明確に早急に返答を出せるかということになります。

(14)クレームを組織的に解決するためには、まずは、クレーム対応のエキスパート(セミナーやトレーニングを受け続けている人)が存在しない限り無理な考えです。

クレームは誠意で解決するのではなく、間違いない手順で、間違いのない言葉で、間違いのない提案にすることが、誠意になるのです。つまり、ロジックとテクニックが修得できていないと解決はできません。 

 

中村友妃子          


※用いた事例は、実際事例ではなく、よくある事例を基本にして、講師が、独自に作成した事例であることを
ご了承ください。

第39講 事例を使ってクレーム対応の間違いと、最善の対応を学ぶ(8) ~3年前に購入されたプリンター。年末に年賀状を印刷しようと思って1年ぶりと言っていいくらいに電源を入れた。がエラーが発生して電源が入らない。急いで修理をしようとメーカーの修理部門に電話をくださった。だがもうこの型番の物は部品保有期間が過ぎているので、修理対応ができないという説明に納得がいただけない~前のページ

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