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社長業

第25回 百年体系

繁栄への着眼点 牟田太陽

※本コラムは2021年4月の繁栄への着眼点を掲載したものです。

 私は日本経営合理化協会に入協したときから、会長から「体系を掴め、体系を掴め」と何度も言われてきた。
 体系とは何かといえば、基礎となるものである。私にとって経営の基礎とは、「受注体質、見込み体質の考え方」であったり、「成長拡大戦略と安定戦略の考え方」である。いつの時代になろうと、たとえ好況であろうと、不況であろうと関係なく普遍的な考え方だ。故に私にとって、「基」であり「礎」となるものだ。その幹があってこそ、初めて枝葉となる。それはスポーツでも何でも言えることだろう。

 人は、「改革」という言葉が大好きなのではないかと最近思う。
 色んな言葉に「改革」を付け音頭をとるが、夢みたいな目標でやるから最初は勢いあるが年とともに尻つぼみになっていく。そのようなことが多い。少し前ではWeb2・0など「〇〇2・0」が流行し、最近ではDXなど、変形、変化、進化を表す言葉は常に出てくる。
 その中で日本は世界の歩調に合わせるべく、「働き方改革」などといい「一億総活躍社会の実現に向けて、労働者の働き方をよりよく改善しよう」と言葉踊るキャッチコピーを打ち出した。言いたいことはあるが今はいい。重要なのは、誰もが、いつの時代も、「変わらなければ未来がない」と言葉を発していることだ。その言葉を「夢」で終わらせるかどうかは社長次第だ。

 先日、M&Aの仲介をやっているトランビの高橋社長と話をした。最近の案件で面白い事例があると言う。なんでもバイオマスエネルギーの会社が、東京ドーム100個分の山林を持っている会社を買ったという。その社長は、東日本大震災を経験し、エネルギー問題を真剣に考えるようになった。そこで脱サラをして今の会社を立ち上げた。会社はこの10年で順調に成長し、この度このM&Aに乗り出した。その社長に直接お会いしたことはない。

 しかし、「日本の廃れていく林業に対して、どうにかせねばという強い想いを感じた」と熱っぽく語る高橋社長の話から本人にお会いしている錯覚さえした。そこに社長の思想であったり、哲学を感じたからだ。当たり前だが、日本という国は何処に行っても目の前に海があり後ろには山がある。実に国土の3分の2が山林だということを自覚して生活している人がどれほどいるのだろうか。国土の3分の2が山林であるのにも関わらず、林業が廃れてきているのはおかしい話ではないか。

 日本は、高度成長期を経て成熟社会に突入した。人々の生活は豊かになった。豊かになればなるほど失うものもある。それはハングリーさだ。カッコ悪いこと、辛いこと、汚いこと、地味なことをやろうとしない。大企業ほどそうである。だとしたら、その中にこそ我々中小企業の商売の原点があるのではないかと思う。

 大きい木には必ず太い幹(体系)がある。見えないけれどもその下には太い根(思想・哲学・理念)がある。それあってこその枝葉だ。何か改革を成そうとするときに、それなくして成功することはない。

※本コラムは2021年4月の繁栄への着眼点を掲載したものです。


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