2つの写真をご覧下さい。両方とも私の家の近くのジョギングコースです。たった2週間で全く違う景色になりました。季節の変化っていいですね。
●桜が満開、とてもキレイです
●それからわずか2週間後…
今回も引き続き「情報の共有化」についてお話します。
先回、私は「情報の伝達において、多くの現場で、デジタル的な仕事のやり方が行き過ぎた状態で進んでいるが、大切なことはむしろアナログで伝えるべきだ。」という意見を述べました。
たとえば、メールで一斉送信したから、情報は伝わったなどと過信せずに、相手の顔を見ながら理解の様子を確かめて、分るまで熱く語ることが必要だということです。
そして、これについて何人かの読者の方から、もう少し具体的に話してほしいというリクエストを頂きました。
そこで、最近私が何社かの指導先で展開している「ガレージセール」を例に、改めて、「情報の共有化におけるデジタルとアナログの差」についてお話ししたいと思います。
さて、この世界的不況で売り上げは減少しているし、銀行の借り入れも思い通りにできるかどうか少々心配…という会社は多いと思います。こういう時に必要なことは、キャッシュをできるだけ外に出さないことですね。
最近はやりの言葉を使うと、「フリーキャッシュフローのリッチ化」ということでしょうか。例えば、材料や設備を新たに購入しないでも、現在社内にあるものを使って生産を行うことができれば、この時期とても会社は助かります。
そこで、会社の中にある古い材料(例えば鋼板素材やコンデンサーのようなチップ類など)、あるいは遊休設備というものに目をつけると、かなり使えることがあるのです。
私がその点を指摘すると、担当の方からはかなりの確率で、「それらのリストはパソコンの共通ファイルに入れてあるので、みんなは既に見ているはずです」という答が返ってきます。これが、デジタル的な仕事です。
しかし、パソコンでそのページを開けてみると、そこにあるのは専門的な記号で表現された、わけが分らないリストです。
これでは誰も使えないなあと思います。少しでも活用された形跡があればいいのですが、私はこのような状況で、使われた事例は見たことがありません。
そこでアナログ的な仕事の登場です。
例えば、金属材料のコイルがたくさん余っている場合です。工場ではいろいろな理由で、材料が使われ切れずに残ってしまうことがあります。
そして、それらがドンドンとたまっていっても、金属は食品と違ってカビもしないし腐りもしないので、いつか使うかもしれないからと、誰も捨てずに置かれています。
それらを広い場所を使って、すべてが見えるように並べます。似たような材料は、お互い近くに置くような工夫もします。
そして関係者全員に集まってもらって、「こういうものを使うと、かえってコストがかかるとか、品質が心配だとかはいったん横に置いといて、とにかく活用できそうなものを、一人最低一品、選んでください」、とお願いします。
みんなブツブツ言いながら目の前の大量の材料を調べ始めます。すると、「サビさえ落とせば使える」とか、「幅が中途半端だからムダが出るが、それでもいいなら」と、条件は付きますが、使えるものが見つかってきます。
そのようにして、みんなが現物を前にしていろいろな意見を出し合っているうちに、だんだんとブレーンストーミングのようなワイワイガヤガヤ状態になって、これまでには思いつかなかった考えが生まれるのです。
すると、自然と多くの気付きが生まれます。熱意が高まります。そして、結果としてキャッシュがたまるようになるのです。アナログっぽいでしょ。
ものが飛ぶように売れる時は、生産優先でしたから、これらの古いモノの処理は後回しが許されたかもしれません。しかし、ものが売れない状況下では、会社を維持存続させるために、キャッシュに目を向けなければいけない。
そこで、これまでとは全く違う見方・考え方が出てきます。すなわち、時代の変化にモノづくりの視点を合わせたということです。
そして、こういう時に現場・現物というアナログの力が役に立ちます。さらに、「ガレージセール」といった分りやすいネーミングも人を集めるのに有効です。というわけで、さっそくご自分の会社で「ガレージセール」を開けないか、現場・現物チェックをして見ましょう。
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