ビジネスマンの「諦め」を先回りして解決!
で、今回の事例です。8月に一般販売となったばかりの新商品で、その名を「ルーシーミスト」といいます。値段は1650円です。
着終わった下着やTシャツをハンガーにかけて、そこにこのルーシーミストを吹きかけます。本体のボタンを押すと、洗剤がミスト状になって出てきます。その後に下着などを擦ったり揉んだりは全くしなくてよくて、そのままシャワーをかけて洗剤成分を洗い落とせば終わりです。より早く乾かしたいならば、タオルに包んでクルクルと巻いてやれば、手作業で一定に脱水できます。
つまり、「洗濯機のないシチュエーションで洗濯できる」「ゴシゴシと衣類を擦ったりしなくても、ごく簡単な洗濯が済む」という2つの部分が新しいわけです。洗濯にかかる所要時間はわずか1分間程度ですし…。
こんな商品、いつ誰が使うの? と思われる人も少なくないと思います。洗濯乾燥機がそこにあるなら、別にわざわざ、この「ルーシーミスト」を買う必要はありませんね。
でも、確実にピンとくる人もまた絶対にいるでしょう。それは、出張を毎週のように繰り返しているようなビジネスパーソンです。私も実際そうでした。きっとそういう消費者は意外といるということの証なのだと思いますが、発売直後からすでにLOFTなど大手どころの一部店舗で取り扱いが始まっています。
この夏は酷暑だったこともあって、出張用のキャリーバッグに下着類をたくさん詰め込んでも、着替えによって足りなくなりがちでした。出張から自宅に戻って、急いで洗濯乾燥をかけて、また次の出張先へというのを繰り返していると、もう本当に面倒です。それに長丁場の出張ですと荷物がどうしてもかさばります。そのうえ、出張の旅程が急に変わって日程延長となったら、替えの下着に苦労します。
しかも、どのホテルにもコインランドリーが備わっているわけではないし、あっても混み合っているケースもしばしばです。だからといって料金の高いランドリーサービスを利用するのも躊躇しますね。結局、客室の洗面台で手洗いせざるを得ないときも多いのですが、ゴシゴシと洗うのはけっこうなストレスですし、うまく汗汚れや匂いが落ちたのかも最後まで不安が残ります。
「ルーシーミスト」は必ずしも万人向けの商品ではないでしょう。でも、こうした切実な(でも、いい解決策を見いだすのをほとんど諦めていた)ビジネスパーソンの思いに、しっかりと応えているのが興味深いところです。
開発・販売するのは東京のハッシュという企業です。同社の代表は、地元に根づく老舗クリーニング店の娘さん。これまでも性能の優れた染み抜き剤である「スポッとる」を必死に開発して、累計50万本のヒットに導いた女性です。
私が実際に購入して「ルーシーミスト」を出張先で使ってみたら、確かに簡単な手順でシャツもトランクスもきれいになった印象でした。客室の洗面台で前かがみになって下着洗いに格闘する場面がなくなるのは、とてもありがたい。諦めていた部分にしっかりと斬り込んでくれたな、と感じさせました。
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