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コミュニケーション

第71回 変わるもの、変わらないもの~年賀状、年賀状じまい~

業績アップにつながる!ワンランク上の手紙・メール術

新年おめでとうございます。

2023年が皆様にとって幸多き一年になりますよう、謹んでお祈り申し上げます。

年賀状じまいとは…?

さて、皆様の手元には今年の正月、何枚の年賀状が届きましたか。分厚い束になるほどたくさんの枚数を受け取る方も、数枚だけぼちぼちと、また、すべて辞めたという方もいらっしゃるでしょう。

わたしが代表を務める一般社団法人手紙文化振興協会は手紙のプロ集団ですから、昨年12月半ばはテレビやラジオなどメディア各社から「年賀状じまい」について取材を受ける機会が続きました。民法キー局や地方局など10社くらい、全国各地に在住する手紙の講師と協力し、ありがたく取材協力させていただきました。

年賀状じまいとは「今回をもって年賀状を送るのを辞めます」と知らせる挨拶状のことを言います。わたしの知る範囲で4~5年前から「終活年賀状」という言葉とともに耳にするようになりました。

年賀状を辞める理由は、主なところで「つながりたい人とはLINEやSNSで気軽につながれる」「住所を知らない/知られたくない」「経済的、体力的に負担が大きい」「年末はいそがしくて時間がない」などが挙げられます。

年賀状文化の流れ

年賀状は新年最初のごあいさつです。近況や日頃の感謝を伝えて新年のさらなる厚誼を願うことで<相手との関係性を深める>のが、その目的とされています。

さかのぼると、その歴史は平安時代の歌詠みにまで行きつきます。

現代に目を向けると、年賀状が生まれたのは郵便制度が整った明治40年ごろ。識字率が上がり、市井に暮らす普通の人も遠く離れた人とごく自然に手紙(年賀状)のやりとりができるようになり、年賀状が流行しました。少し話題はずれますが、夏目漱石や森鴎外など明治~昭和にかけての文豪が遺した年賀状には、大変興味深いものがあります。

その後、時代がすすみ、終戦後にはお年玉付き年賀状が発行され、昭和の高度経済成長や人口増加とともに発行枚数が急増しました。

家庭用プリンターの大ヒットも人気の後押しとなり、ピークの2003年にはその発行枚数は約45億枚。その後、個人情報保護法、LINE・SNSなど連絡手段の多様化等が背景となり、現在(2022年用)の発行枚数は約18億枚、ピーク時の約4割程度に減少しています。

年賀状はどうなるのか?

では、今後、年賀状はどうなるのでしょうか。人付き合いや連絡手段の多様化という大きな時代の流れとともに、右肩下がりにその発行枚数を減らし続けるのが現実でしょう。

しかしながら、そんな中にあっても「やっぱり年賀状が好き」「年賀状の来ないお正月はさみしい」「年賀状でつながっていたい」と考える人もいますから、今後はそうした一部の愛好家の間で、細く、しっかりと生き残り続けることになるでしょう。

それは決してさみしいとか残念などネガティブなことではなく、「好きな人と好きな手段でつながりたい」「わたしらしく人と関わりたい」という本来の姿に近づくことなのだと思います。

年賀状も、年賀状じまいも、書きたい人は書けばいいし、書き方は自由です。形式にとらわれることなく好きなように書きたいように書いて、送りたい人にだけ送ればいいですね。

自由に自分らしく生きることと向き合う。年賀状・年賀状じまいというトピックを通して、そんな大それたことまで思い至りました。

はなはだ僭越ではありますが、2023年も、ご愛読のほど、何卒お願い申し上げます。

第70回 手書き文字に自信がない人こそ、万年筆のススメ前のページ

第72回 生誕100年 池波正太郎の言葉と、手紙次のページ

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