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戦略・戦術

第231号 1兆1,594億円

社長のための“儲かる通販”戦略視点

 この数字は、2015年のインターネット広告費である(電通発表)。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌といったマスコミ4媒体の広告費が、総じて前年比で減少したのに対し、インターネット広告費は110.2%と堅調に伸長。スマホや動画、新しいアドテクノロジーを利用した広告が増加し、広告市場全体を牽引するまでに成長した。
 
 インターネット広告費の内訳をみると、媒体費が9,194億円、制作費は2,400億円で、とくに媒体費の伸びが大きい。この成長要因は、スマホ広告市場の継続的拡大や動画広告市場の急成長に加え、「プログラマティック広告取引」(オーディエンスデータに基づいて自動的に広告枠の買い付けを可能にする取引形態)の浸透が進んだことが市場の伸びを後押しした。
 
 市場では、枠売り広告から運用型広告へのシフトが進んだ結果、枠売り広告は前年をやや下回り、運用型広告は順調に伸長した。ちなみに運用型広告費とは、膨大なデータを処理するプラットフォームにより、広告の最適化を自動的に行いながら出稿する広告で、リスティング広告やディスプレイ広告などが含まれる。
 
 デバイス別では、前述の通り、スマホが着実に伸びている。動画コンテンツの視聴環境のクロスデバイス化や多様な動画広告メニューの登場により、動画広告市場が急伸したことも成長要因の一つだ。また、SNSや動画ポータルメディアにおいて、運用型動画広告のシェアが拡大したことも寄与している。
 
 中でも特筆すべきは、SNS 広告の躍進だ。とりわけ原則的に実名登録となるフェイスブックでは、ユーザーの年齢・性別・住所・職業といったプロフィールを元に詳細にターゲティング設定でき、他のネット広告と比較してクリック単価が低い傾向にあることから、出稿する企業が増えている。
 
 インターネット広告は、リアルタイムに成果が見え、PDCA サイクルにより費用対効果を高めるための運用がしやすいという特長がある。近年では、大企業を含めて広告費はインターネットへ投下される比率が高まっており、企業の戦略自体が大きく変化していることが窺える。多くの消費者がインターネットで情報収集する時代となっている以上、このような広告市場の構造変化は当然のことだろう。
 
 
 
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