こんにちは、いかがお過ごしですか。
新緑が目にまぶしい頃となりました。鳥の鳴き声が清らかに聴こえます。いい季節ですね。
さて今回は2週間ほど前にインターネットTV「ABEMA Prime」スタジオ生出演させていただいたときのことをお話しします。
この日のテーマは「ソーシャルメディアと手紙の違い」。
ここのところ、SNSで若い世代を中心に「#文通相手募集」「#ペンフレンド募集」「#ファンレター」などのハッシュタグをつけた投稿が多く見受けられます。手紙が書けるカフェもメディア等で注目を集めています。
このソーシャルメディア全盛の今なぜ、手書きの手紙なのでしょうか。スタジオでは「手紙なんて、いらない派」の30代半ばYouTuber女性と、「幼少の頃からの手紙好き」のわたしが、レギュラー出演者の皆さんを交え、今の時代における手紙の価値について話し合いました。
ここで簡単に、ソーシャルメディアと手書きの手紙の違いをまとめてみます。
ソーシャルメディア | 手書きの手紙 | |
利便性 | 便利、効率的 | 不便、手間がかかる、わざわざ、面倒 |
求められる速度と、それから受ける感覚 | 即レス、速攻 プレッシャー、焦り、ストレス 手軽、気楽、待たない・待てない |
ゆっくり、マイペース、相手にゆだねる 自由、安心、心地よさ ていねい、相手への敬意、待てる |
関係性 | 1対集団 | 1対1、パーソナル |
役割 | 情報や瞬間的な気持ちを伝えるもの | 胸の内、心の奥にある気持ちを伝えるもの |
内容 | 表面的、忖度あり | 本音、忖度なし |
つながり | しばられやすい、依存を生みやすい | 自立した者同士の心のつながり |
道具 | スマホ、PC等 | 紙、ペン等 |
表現手段 | 言葉、絵文字、スタンプ、タイミング | 紙、ペン、文章、手書き文字、届ける(切手など) |
(書く人) 書いた後の気持ち |
喜びや達成感が持続しにくい | 喜びや達成感が長く定着しやすい |
(読む人) 読んだ後の気持ち |
喜び、嬉しさ、楽しさ、慣れ | 喜び、理解、気づき、感謝、意外性 |
文字 | 画一的、無個性、平面的 | 唯一無二、味わい、温かみ、人間味 |
書き方 | 簡単、シンプル、考えない、だれでもすぐできる、手っ取り早い | むずかしそう、書いたことがない 失礼がないか・恥をかかないか不安 →実際は「ただ手書きである」だけで十分、文章はシンプルでいい、自分らしく書けばいい、短くてもいい、間違えてもいい |
受け取った後 | メディアに記録が残る ゴミが出ない 捨てる必要がない 読み捨てられ、読み捨てられやすい 忘れやすく、忘れられやすい |
残る、何度でも読み返せる 捨てにくい(大事、記念、宝物/処分しにくい、厄介) →実際は処分してもいい。感謝して、味わってから処分する。最近は「お焚き上げ」してくれる寺も |
*LINEやDMのように1対1のつながりもある
即レス文化 VSゆだねる文化
ソーシャルメディアと手書きの手紙、その最大の違いは「時間の流れ」です。
ソーシャルメディアやLINEはレスの速さ重視、即レス文化です。それが気を揉ませ、ときに心をつかれさせ、依存を生みやすくします。
その一方で、手紙は人の手を介してゆっくり届けられるもの。返事がいつくるかわからず、そもそも返事を期待するものでもありません。返事の有無やそのペースは100%、相手にゆだねられるため、自立した者同士の心のつながりを生みます。
何ごともスピード重視、すぐに成果が求められるこのご時世にあって手書きの手紙は非常にアナログ的、時代錯誤の極みではありますが、元をたどれば手紙の歴史は文字の誕生と同じ、人類の英知そのものです。手紙というツールは決してなくなるものではありません。
何ごとも100対0で考えるのではなく、ときにその関わり方を変えながら、組み合わせながら、グラデーションの一部としてとらえていくのがよいのではないかと思っています。