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人間学・古典

第13講 「言志四録その13」
小利に動かされざるは難し。

先人の名句名言の教え 東洋思想に学ぶ経営学

【意味】
眼前の利益に惑わされないようにすることは難しい。


【解説】
子供のころの夏の記憶を思い出します。やっとの想いで買ってもらった当たりつきのアイスキャンディー。
食べ進むに連れて棒が少しずつ現れます。
アイスキャンディーを味わうよりも、当たり棒であることに心を奪われた子供の頃・・・
当たり棒は子供の心を幸せいっぱいにします。
この一瞬の快感が忘れられずに、次もまた買ってしまうのです。


人間は眼前の小さな利益に弱いものです。
パチンコ・宝くじ・公営ギャンブルなどはこの心理で成り立っています。
もしかしたら自分だけには勝利の女神が微笑むのではと期待します。
その期待が増大し次々と大金をつぎ込むはめになってしまいます。
これを評して「眼前の小利、我が心を塞ぐ」(巌海)となります。


誰にでも小欲は恒常的に起こりますが、これをどのように処理するかが、人間の品性レベルの差になります。
小欲を我慢できない品性の人は、絶えず小銭をはたきこれを満たすのです。

百円ショップ商法は、この種の人間の心理を見事に利用しています。
安い安いといって、必要のないものまでドンドン購入します。
食器・収納ケース・置物まで、生活に必要のないものを片っ端から買うことで、この小欲を満たしているわけです。
その結果、家の中には不要なものが溢れ、その不要なものが様々な弊害を招き、本来の人間らしい生活を奪っていくのです。

いくら小さな穴でもそれが無数に開いていては、桶の水は一向に満たされることはありません。
当然のように金欠病になります。
金欠病は小欲を我慢できない弱さに起因しますから、昔から「金遣いが人間的な品位に通じる」と言われているのです。


このように無限に生じてくる欲望の処理をなおざりにしていると、金の始末ばかりでなく、物の始末や心の始末にも影響します。
そしてその結果として、自分だけでなく家族や周りの者も道連れにして、
幸せな日常生活を送ることができなくなりますから、折角の人生を不幸にしてしまいます。

ですから、結婚相手を選ぶ場合にはこの種の人を配偶者にしないように心掛け、社員を登用したりする場合には、
この種の品位なき社員を採用しないようにすることは極めて重要な人事政策となります。

    「始末とは欲望の始末なり
        欲望の始末ができれば、金の始末・心の始末・物の始末が可能なり
            そうなれば、人生における幸せの始末も自己の掌中にあることになる」(巌海)


杉山巌海

第12講 「言志四録その12」小人にして多才多芸の者あり。まさに人の国を乱るに足る。前のページ

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