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社長業

Vol.111 「次の成長エンジンをカタチにする社長の一手」

作間信司の経営無形庵(けいえいむぎょうあん)

 どんな会社にも、「この事業、この商品が業績を伸ばしている」というものがある。いわゆる成長エンジンというやつだ。
 
 収益源であったり、新規獲得の強力な武器であったりする。
 
 明確に業績に反映していれば、既にエースが投入されている場合が多いが、カタチがおぼろげに見え始めた段階では、なかなかエース級を投入できないのが中堅中小企業の悩みだ。
 
 エースは自分の事業部をしっかり握っているのが当然であり、他に廻せるエース級が潤沢でないのも実際である。
 
 岡山のH社でもこのジレンマで社長が迷っている。
 
 取締役の一人が担当している事業部は県内でもトップシェアを取っているが、市場分析から、今後の拡大余地、収益性の向上の2点で見た場合、横バイが順当なところである。現在でも、新規開拓、値上げ交渉、社内の生産性向上に余念は無いが、私が客観的に見ても利益微増がいいところだ。
 
 本人は、自分が今日まで育てた事業部でもありその仕事にも使命観を持っている。愛着があるのが当然だ。
 
 今そのH社で新しい事業の芽が出かかっている。社長も注力しているが直接の責任者の人選問題が浮上しているのだ。当方の意見は、そのエース取締役が適任であり、次世代の幹部社員を育てる上でも、後任にその事業部を任せるべきだと。
 
 事業部を育てたエースであれば、一週間か二週間に一度事業部を覗けば調子の良し悪しも手に取るように判るし、万が一のことがあってもリカバリーを打てる。
 
 しかし社長からすれば担当替えで顧客離れが起こらないか、業績が下がらないか心配の種は尽きない。これも良く判るが、あえて2つの理由からエース投入を説得中だ。
 
 ひとつは、最初の問題提起の成長エンジン、業績エンジンが何より大切であるからだ。
 
 次に、52歳である取締役に、新たなチャレンジで、もう一回りも、ふた回りも大きな人物になっていただきたいし、それができる実力を充分持っておられると思うからだ。
 
 そして後任の幹部候補者の活躍の場も作れる。
 
 社長がいつまでも全部を直接指揮はできないし、次の業績の牽引車(者)を育てなければならない。
 
 どんな事業も最後は人が創りあげる。力のある社員を、もっと活躍できる場、もっと業績向上に活かせるように配することは、社長にしかできない仕事である。
 
 それが、次の成長エンジンとなる事業であれば、なおさらのことと思う。

 

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