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マネジメント

第104回 『取締役と部課長の違い』

社長の右腕をつくる 人と組織を動かす

部課長などの中間管理職と比較して、取締役などの重役・経営幹部に求められるものは何か。

まずひとつは、自分の担当に目を向け、自分の仕事に精通しなければならないのが部課長とするならば、
取締役は、担当事業部全体の流れを見ることはもちろん、担当以外にも目を向けることが求められる
ということだ。

もうひとつは、率先垂範と権限委譲のバランスの発揮である。

課長などの中間管理職についていえば、往々にして、2つのタイプに分かれることが多い。

一方は、自らも勉強するし、計画についても自分で立案、実行段階でも先頭に立って部下を引っ張る
というタイプだ。

もう片方は、計画の立案にしても実行にしても、根幹にはタッチしたり、
足りなければ人材を社内に求めたりするものの、細部については部下に任せるタイプだ。

便宜的に、前者を「率先垂範タイプ」、後者を「権限委譲タイプ」とすると、
課長から部長、部長から事業本部長、そして取締役、常務…といったように、
立場が上にいけばいくほど、どちらかのタイプに偏っていると限界が出てくるものだ。


取締役ともなれば、仕事の目的によって率先垂範したり、あるときは権限委譲したりと、
その使い分けをすることが求められる。
逆にいえば、2つの使い分けができないようでは、取締役失格ということになる。

たとえば、取締役であれば、営業や工場の第一線から遠ざかるのが普通だ。
このことは、下からあがってくる情報にフィルターがかけられることを意味しており、
ときには現場に直接出向いてナマの情報に接しようという態度が必要なこともある。
だが、そこで得た情報の活かし方については、細やかな注意が必要である。

もっと具体的に説明しよう。
営業担当取締役であるあなたが、顧客である販売店に出向くとする。
そこで、販売店から、「仕入を安くしてくれ」「返品を認めてくれ」という要望が出たとして、
その場で「イエス」と答えたとしたらどうなるであろうか。

会社の利益を第一に考え、販売店の要望をできる限り抑え、なだめすかして頑張っていた
その販売店担当の社員の立場は、まったく無くなってしまうではないか。

あるいは、売れ筋の商品や競合店の新規オープンの情報を販売店から得て、
それを、担当部門の部長や課長を通さずに一般社員に伝えたとする。
今度は、それを知らされなかった部課長が立場を失うことになる…。

こうしたことが起こりえるのは、
“任せるべきは任せ、自らリードすべきはリードする”
というバランスに欠けているからだ。


「リーダーのあり方」などと、巷では中間管理職と経営幹部を一緒くたに論ぜられることが多い。
しかしそこには、自ずと質的に差があるもので、
上の立場にいけばいくほど、そのことを自覚したいものだ。

 

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