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税務・会計

第85号 BS「格言」 其の三十一

会社を守り抜くための緊急対策

其の三十一

すでに起きた事実を見れば、未来が見える

 

 これは、かの有名なドラッカーの言葉です。
 簡単な例で言いますと、今年の新生児が50万人だった場合、18年後の現役大学受験者数はそれ以下ということです。
 ある年の新生児50万人が「すでに起きた事実」であり、18年後の大学受験数が「未来」になります。
 18年後、日本がニュージーランドのように移民政策等の対策をとらない限り、高校を卒業する日本人は50万人のままなのです。
 すでに起こった事実を見ると大学関係者、大学受験関係者は、18後の戦略を早期に考えることができます。
 
 自然界でも同じようなことが言えます。
 鹿とライオンの関係を見てみましょう。
 多くの鹿がいる場所には、ライオンも食料には困らないため、安心して生活できますし、その数も増えていきます。
 しかし、ライオンの数が増えていけば、鹿の数は減っていきます。当然のことです。
 そして食べ物である鹿が減っていけば、当然、ライオンの数も減少していきます。
 鹿の数が減少することを先行指標、つまりすでに起こった事実として捕らえることができたならば、必ずライオンの数は減少することは予測可能になります。
 
 さて、このドラッカーの言葉とバランスシートですが、関係あるのでしょうか。
 
 ある経営者の言葉です。
 「もう少し、我慢しましょうと言われますが、いったい、いつまで我慢すればいいのか。もう、疲れました」
 そう言って知人の経営者は自殺したそうです。
 傍目には売上も順調に上がっていたようですが、彼の会社のバランスシートは、かなりひどかったと後日話を聞きました。
 「いったいいつまで我慢すればいいのか」
 このような経営者の声をよく聞きます。もちろん、中小零細個人だけでなく、大企業も例外ではありません。
 
 このような時、静かに、ドラッカーの『すでに起きた事実を見れば、未来が見える』というフレーズを思い出すと、何か光が見えてくる気がします。
 
 実は、会社経営において、すでに起こった事実がバランスシートになるのです。
 何度もお話ししていますが、バランスシートは、会社設立から今日までの歴史をすべて表しています。
 だからこそ、早めにバランスシート改善を図る必要があります。 
 バランスシートの改善については、目標となる「心地よいバランスシート」を何にするかを明確に掲げることが一番いいと経験上はっきりと言えます。
 
 損益計算書の目標は、0を100にすることができますが、バランスシートはそうはいきません。設立からの繰り越しがあるからです。
 これは何を意味しているかと言いますと、バランスシートの目標はうそをつけないのです。
 うそをつけないから目標バランスシートを作成しないのか、それとも作る必要性を感じていないのか、作り方がわからないのか、いずれにしても、作成している会社は少ないのです。上場会社であっても、作成していないところも結構あるようです。
 
 このように、事業計画を策定している会社の多くは、予想の損益計算書はありますが、目標となるバランスシートがありません。
 コンサルタントが作成しても然りなのです。ちなみにこのようなコンサルタントは仕事をしていないことになります。
 心地良いバランスシートは経営者だからこそわからなければならないことなのです。心地良いバランスシートが何かを体で感じ取り、それを目標にすること、これにより、「未来」を見ることができるのです。
 
 

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