menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

税務・会計

第70号 BS「格言」 其の二十一

会社を守り抜くための緊急対策

其の二十一

オーナー会社は連結バランスシートで判断すべし

 

 オーナー会社の場合、会社単体のバランスシートだけでは本当の実態がわからないため、オーナー個人のバランスシートと会社のバランスシートの合算、すなわち連結バランスシートを作成した方がいいことを言っています。
 オーナー会社の多い中小企業の場合のバランスシートは、連結バランスシートこそが本当の会計情報になるからです。
 何度もお話ししていますが、中小企業は誰が守ってくれますか?
 銀行が貴方の会社を守ってくれますか?
 国が守ってくれますか?
 社員が守ってくれますか?
 家族が守ってくれますか?
 
 残念ながらすべてNOです。本当に会社を守ることができるのはただ一人。それは社長だけです。
 
 では、中小企業の社長はどのようにして会社を自分で守っていけばいいものなのでしょうか?また、自分を守っていけばいいものなのでしょうか?
 その解答の一つが「連結バランスシート」なのです。
 会社はオーナー社長にとって分身です。分身を生かすも殺すも社長次第です。
 社長と会社は、平穏時であれば、一心同体となって活動していることでしょう。そして、社長は自分の会社の資産や負債を自分のものとして考えていることでしょう。
 このことは会社を食い物にしているという意味ではありません。
 確かに資産だけ自分のものと考えることは間違っていますが、個人的には借金がゼロでも会社に借入があれば、いつなんどき、自分が返済しなければならなくなるか、そう考えているはずです。
 これも社長と会社が一心同体であることの表れです。
 しかし、残念ながらほとんどの社長が、漠然と考えているだけです。
 ここでは、多くの社長に、社長個人と会社のバランスシートを合算して活用する「連結バランスシート経営」をすすめるものですが、じつはこの「連結バランスシート」こそが、社長にとって重要な情報なのです。
 
 ご承知のとおり、オーナー会社の場合、会社だけでは本当の実態を判断できない事情があります。
 たとえば、会社の借入のために社長個人が保証人となり、社長個人の不動産を担保にすることは今でも常識となっています。また、会社と社長との金銭的な貸し借りもあることでしょう。
 会社では借入れができないため、社長個人が借入れをして会社に資金を提供することもあるでしょう。
 また、社長個人の事情で、会社から資金を拝借することもあると思います。
 要するに、100%とは言いませんが、会社のお金の実権を握っているのは社長です。
 ときには経理担当者が反対しても、資金移動を押し切ることもあるでしょう。もちろん、その是非は、その状況で判断しなければなりません。
 つまり間違いなく、社長と会社は一心同体状態なのです。これが実態です。
 
 一方、会計情報は企業の実態をあらわしてこそ、その価値を見出すことができるものです。
 その意味でも、会社単体だけで見るのではなく、社長の資産と負債、つまり社長のバランスシートを会社のバランスシートと合算させた会計情報で判断した方がよりいいことは明白なのです。
 これが、社長に連結バランスシート経営をお勧めする一つ目の理由です。
 連結バランスシートを作成した場合は、資本金と社長の会社への投資、社長と会社との貸し借りは相殺されますので、なにも変わらないことになります。
 
 中小企業の場合、貸付金は厄介な存在です。社長への貸付金は、連結バランスシートを作成しますと、相殺されますので問題ないと考えます。
 社長以外の第三者に貸し付けた場合はどうでしょうか。
 結局、調達した資金を事業に使っていないことになります。また、大抵、この手の貸付金は返済されません。ということは、貸付金の減少つまり返済があったということは、社長や会社の周りで誰かと何かがあったことを物語っています。
 
 領収書をもらえない相手に支払った仮払金は、会社で計上しないようにするためには次のようにすべきです。
 連結バランスシート経営においては、社長と会社との資金移動は、度を越さなければ容認します。
 領収書を発行できない相手に対してお金を渡す場合は、一度、会社から社長にお金を貸します。そのお金を社長は個人のポケットマネーで渡します。
 連結バランスシート経営では、中小企業の本当の会計情報は連結バランスシートなので、そこには、この手の数字は掲載されないため、OKになります。
 貸付金も同様です。
 社長以外の貸付金は問題視されます。中小企業は大企業と異なり、従業員に対する貸付制度はありません。
 
 中小企業の本当の会計情報は社長と会社の連結バランスシートなのです。
 会社のバランスシートが債務超過でも社長のバランスシートの状態がいい場合は、連結バランスシートは大丈夫です。
 だから、社長個人のバランスシートの状態はとても大事なのです。
 
 
 
 
 

第69号 BS「格言」 其の二十前のページ

第71号 BS「格言」 其の二十二(1)次のページ

関連セミナー・商品

  1. 社長のための「お金の授業」定期受講お申込みページ

    セミナー

    社長のための「お金の授業」定期受講お申込みページ

  2. 公私混合経営マニュアル

    公私混合経営マニュアル

  3. 「公私混合で考える《経営と蓄財》」

    音声・映像

    「公私混合で考える《経営と蓄財》」

関連記事

  1. 第57号 BS「格言」 其の七-1

  2. 第94号 BS「格言」 其の三十九

  3. 第69号 BS「格言」 其の二十

最新の経営コラム

  1. 楠木建が商売の原理原則を学んだ「全身商売人」ユニクロ柳井正氏

  2. 第10講 WILLとMUSTをCANに変える:配属に不満がある社員とどう関わるか

  3. 第147回『紫式部と藤原道長』(著:倉本一宏)

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. キーワード

    第89回 AI要約
  2. マネジメント

    第156回 どうでもいい?話にこそ商売のタネがある
  3. 不動産

    第59回 敷地内のランドスケープに癒しが必要
  4. 健康

    第70回 姥湯温泉(山形県) 標高1300メートルに湧く絶景露天風呂
  5. 戦略・戦術

    第219号 10兆1718億円
keyboard_arrow_up