menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

税務・会計

第93号 BS「格言」 其の三十八

会社を守り抜くための緊急対策

其の三十八 所有より利用でバランスシートが魔法になる

 家庭で、損益計算書やバランスシートを作成していることはほとんど皆無だと思います。
 最近は、家計簿のソフトも単なる収支のみならず、バランスシートまで出るものもあるようですが、活用しているかどうかは疑問です。
 家計の収支も、家庭のバランスシートに影響を受けています。
 その最たるものが、住宅と自家用車です。そして、そのためのローンつまり借金です。
 一戸建て住宅の場合は、都会では通常、土地代金がかなり占めていますが、マンションの場合、購入価格に占める土地の価格は低いものです。
 また、欧米とは違い、日本の場合、建物の評価はゼロに近いと考えた方がいいでしょう。ですからマンションの取引価格、つまり時価は、いとも簡単に下落してしまいます。
 この場合、マンションを売却しても、借入金が残るということがよくあります。そうなりますとなかなか売却もできなくなります。
 マンション業者からのお叱りを承知でお話ししますが、マンションは購入より、賃貸がいいと思います。
 よく同じ金額を支払うならば、賃貸より購入がいいということが言われているようですが、購入した場合、つまり、資産としてマンションを保有した場合、その後の維持費は大変な額になります。
 修繕積立金や、住宅ローンにした場合の返済金額の増額といった金銭面だけでなく、近隣とのトラブル等精神的な苦痛も多々あるようです。しかし、その場合でも、なかなか簡単に売却できず、転居できないことになります。
 家計が苦しいといっても自家用車を保有している人もいます。これでは、家計が楽になる見込みはありません。
 今後、雇用環境、収入環境の変化は避けられないといわれています。会社業績も悪化してくれば、家計の見直しは絶対に必要となってきます。
 貯蓄型の保険資産も、不必要な医療保険や無駄な特約は解約すべきかもしれません。
 また、住宅ローンは繰り上げ返済をせず、手元に資金を置くことが賢明な行動だと思います。家計も見直しはまずバランスシートからになります。
 「持たない経営」「持たない生活」が大事なのです。
 このような持たない経営や生活でも、これからお話しする12の項目を少しでも多く満足してあげることで、幸せな経営や生活ができるものです。 
 顧客は、希望通りの商品やサービスを受ければ、幸せな気持ちになります。
 しかし、顧客は代金を支払う時点で、豹変することがあります。払いたくないという心理が働いてくるからです。
 ここで支払わないと次に購入できないので仕方なく支払う場合もあるでしょう。
 しかし、顧客が気持ちよく支払うことの方が次につながります。
 売上は、顧客である人に、ものやサービスを提供し、お金を捥ぎ取ることには変わりありません。
 お客はお金を捥ぎ取られるのです。どうせ捥ぎ取られるなら気持ちよく捥ぎ取られたいと思うことでしょう。
 だからこそ、顧客を気持ちよくさせてあげることが重要になってきます。
 「気持ちがいい」「幸せ」というものは感じるものです。
 だからそのように感じやすくしてあげれば、取引は継続します。
 では、幸せと感じてもらうためにはどうすればいいのでしょうか。
 次の12の項目を少し見てください。これらが満たされれば人は幸せを感じることができるものです。もちろん、人によっては12のうち、たとえば、一攫千金だけに幸せを感じる人もいるかもしれません。食に特に幸せを感じる人もいることでしょう。
 もちろん12をすべて満たす必要はありませんが、これらの項目を満たされれば、幸せだなあって感じることに大きな問題はないと思います。
 今からお話しします12の項目を満足することにより、売上を継続的に上げ、また、入金も確実にしていただくことができます。

売上を上げるための『12の法則』
 「食」「健康」「非日常」「一攫千金」「闘争心」「男女」「好奇心」「差別化」「所有」「知識」「帰属意識」「心と感性」が12の法則になります。
 この12の項目が満たされれば人は幸せを感じやすくなります。ですから、この12の項目を事業として行う人はとても多いと思います。
 最近では、ヒーリング等、心と感性に関するビジネスも伸びてきているようです。直接、この12の項目が現在の事業と無関係な場合でも、社内環境に12の項目を考えることは必要です。
 従業員が幸せを感じて仕事をすることが売り上げ増加につながることは明白だからです。
 最近の子供を見ていますと、この12の項目に対する欲求が減っていっているようで心配です。
(1)「食」
 個体維持機能を満足させるものとして「食」があげられます。おなかがすいたときは、何を食べてもおいしく感じますし、とても心が豊かになります。
 飽食の時代では、なかなかおなかがすくということはなくなったといわれます。しかし、食は、人を良くすると書きますように、私たちにとってとても重要なことです。
 ですから、意図的におなかをすかせることも必要です。簡単なことは運動です。
 ある小学校では、ちゃんと朝ご飯を食べ、学校で、運動をきちんとしていますと児童が健康的になり成績が上がったという話を聞いたことがあります。
 生きるためには、食は欠かせません。健康のためにも食は大切です。おなかをすかせるために、一食抜くということは健康を考えたとき不自然です。
 食は人を幸せにすることができる最も身近なものだからなのでしょう。また、自分が作った料理をおいしく食べてもらえることに喜びを感じることができるからかもしれません。おいしいものを食べると素直に幸せを感じることができます。
 よく、取引先を接待するのも、この食を意識しているといえます。
 逆に、食のバランスを崩せば、健康を害することになります。また、社内のコミュニケーションにも食を活用するところが多いのも事実です。
 大企業で社員食堂の充実ぶりはすごいものがあります。もちろん中小企業には社員食堂はありませんが、社員がお弁当を食べられるスペースを設けてあげることも大切なことです。
(2)健康 
 個体の機能と健康を増進させるものとしての健康は、病気になって初めてそのありがたさがわかるので困ったものです。会社の中では、社員の健康に気を配っているところも多いことでしょう。健康診断などはその典型です。ただ、残念ながら、中小企業にはその余裕すらないところも多いのです。
 社会保険料の負担が大きく、納付できないため、国民健康保険に切り替えている会社も多いことでしょう。
 中小企業の社会保険料を安くするような政策はとれないものかと、まじめに思います。
 以前から、医療費の増大が指摘され、病院において、ベッド数の減少が実際に行われています。
 病院を自宅代わりに長期療養している方も多いと聞きますが、そのような人がいるからといって、ベッド数の削減は、本当に病気治療しなければならない人を助けられないことになる気がします。
 医療費の中で、入院費も高いことは周知の事実です。
 これからの日本における新しい社会の構築として、病院の近くに住むという発想でのまちづくりをしたらいいのではと思います。そうなれば、自宅から病院に行けますし、入院費がかかりません。
 ところで、会社には、年功序列ではなく、健康序列というものがあるようです。トップが一番健康で、立場が下に行けばいくほど不健康になっているということです。
 社長は元気が一番ということなので、これはいいことですが、下の人の心の健康にも気を配ってみる経営も今後は必要になってくると思います。
(3)非日常 
 日常性から脱却できるものの典型は旅でしょうか。つまり、日頃の環境を変えることで非日常感を味わえることになります。
 確かに、日常生活を離れた空間に身をゆだねてあげればリフレッシュできます。テーマパークも非日常の典型です。テーマパークは、ディズニーランド以外、軒並み閉鎖に追い込まれています。テーマパークは、この12項目すべてを満足させなければ存続は困難なのだと思います。
 ディズニーランドで思いだしましたが、ここはいつも本当にきれいです。たとえゴミを捨ててもスタッフの方たちが、楽しそうにしかも軽快にゴミをさっと拾っていきます。
 もちろん、単にゴミを拾っているだけでなく、園内にいるお客様の安心安全を守っています。
(4)一攫千金 
 射幸心をあおるものの典型は、宝くじや競馬でしょう。宝くじは、買った瞬間、とてもワクワクするものです。このワクワク感がとても大切なのです。
 ただ、一攫千金のビジネスもよく見かけますが、気をつけたいものです。レバレッジの大きな投資もある意味、この部類に入ります。
 社内で何かの目標を決め、達成すれば、なにかをもらえるということも金額の多寡ではなく精神的な一攫千金になります。
(5)闘争心 
 闘争心というものは最近あるのでしょうか。運動会でも、みんなでゴールなんていうところもあるようです。まったく、闘争心のかけらもありません。みんな違うからいいのであって、みんな同じなら、人自体、存在価値がなくなるような気がします。
 また、この闘争心があるからこそ、力が出るような気がします。
 会社において闘争心は、営業でいえば、売上目標でしょう。やはり、目標値を決めて競い合うことが必要だということです。
(6)男女 
 男女にかかわるビジネスは、絶対になくなることはないでしょう。銀座等のクラブ、キャバクラをはじめ、多くあります。やはり、幸せを感じる基本中の基本でしょう。そうであれば、出会い系サイトが消滅しないことも仕方のないことかもしれません。
 なんでもそうですが、あとは、理性です。感情をコントロールできるのは理性が働くからです。
 会社で、男性ばかりであれば、なかなか元気がでないものです。やはり、そこには女性の存在も必要になってきます。逆も言えます。
 あるコーヒー店でのお話です。売上をもっと上げたいという要望があり、次のように提案しました。
 「いらっしゃいませ」を「おはようございます」に、「ありがとうございます」を「行ってらっしゃい、今日もがんばってください」と女性のスタッフが明るく男性客に話しかけるということだけです。
 朝、7時過ぎに、男性のビジネスマンでいっぱいになるそのお店は、半数以上のお客様が朝食をそこで食べていたのです。
 それで思いついたのが先ほどの言葉です。もう、20年以上も前のことです。今では当たり前になっている言葉ですが、こういった言葉を男性は女性からかけてもらいたかった、そんな気がしたからです。
 結局、リピーターが増加し、1カ月後には、売上が1.5倍になりました。たいそうなマーケティングを行うより、人の行動をしっかりとみて、12の法則を当てはめた方が、みな幸せを感じ、リピーターになってくれるのです。
(7)好奇心 
 好奇心は、子供が大人になる過程でとても必要な要素です。最近は、好奇心のない子供が増えたといわれています。これはとても不幸なことだと思います。
 大人に至っては、好奇心は死語だと考えている人も多いかもしれません。それだけ、心にゆとりがないのでしょうか。
 よく、忙しいという人がいますが、よく見てみると、結構、時間があるのです。物理的な時間は結構ありますが、忙しいということは、精神的な時間がないのだと思います。
 何かに追われていますと、心にゆとりというものが持てなくなり、確かに精神的な時間がなくなってきます。
 そんなとき、大人も好奇心を持つことが自らの成長を後押ししてくれると思います。わざわざ、ラーメンを食べるために北海道や博多に行くことも好奇心の現れです。
 もちろん、ラーメンは、別に北海道や博多にいかなくても食べることはできます。特に東京は、日本全国、世界各国の料理を食べることができます。とても便利だと思います。しかし、木造住宅を建てる場合、その土地で育った木で家を作るのが一番いいといわれているように、そのご当地で食することがやはり一番の贅沢な気がします。
 情報はインターネットですぐに入りますが、少し時間をかけてでも、足で情報を得ることは今の時代でも大切です。
 東京に人が集まっているのは、東京に情報を持っている人がいるからです。本当の情報は、人と人との出会いからしか得られません。
 昔、証券業界で、東京/大手町から新宿まで1日、横浜まで1週間、大阪まで1か月、博多では1年、情報が遅れるという話を聞いたことがあります。まさに、本当の情報は、人と人との間ということになります。これは、今も同じです。
(8)差別化 
 差別化は、ビジネスで勝ち抜くためには必要なことです。また、差別化できたとき、とても幸せを感じることができます。
 差別化には、ナンバーワンとオンリーワンがあります。
 ナンバーワンということは、二番以下に競合が多くいるため、常に、競争しなければなりません。しかし、オンリーワンは、他にだれも競合がいないため、余計なエネルギーを使う必要はありません。
 オンリーワンを儲かる仕組みだと考える人と、ナンバーワンを儲かる仕組みと考える人とは、基本的に行動パターンが異なります。
 もちろん、永遠にオンリーワンはあり得ませんので、次のオンリーワンを探さなければなりません。
 ナンバーワンもオンリーワンも維持するにはとても大変ということです。無意味な差別はいけませんが、必然的に発生した格差は必要なことだと思います。
 やはり、高い収入を得ている人は、そうでない人に比べて間違いなく、人一倍考え努力し勉強しています。
 もちろん、悪いことをして収入を得ることは許せないことでしょうが、それでも収入を得るということは、人一倍考え努力勉強しているのです。
(9)所有 所有者を満足させるもの
 所有意欲は、幸せを感じるためにも必要になります。しかし、所有後の維持費を考えないと、所有が苦痛になってきます。維持費のかかるバランスシートを作ってしまうからです。
 できる限り、身軽な経営、生活。不透明な時代にはこれに限ります。
(10)知識 教育等、知識を豊かにするもの
 知識は、考える力・知恵の源です。知恵がなければ工夫もできません。好奇心も育ちません。
 ですから、知識がある方が、より喜びを感じることができるものです。社員教育は、会社が厳しい時こそ必要な気がします。
(11)帰属意識 
 会社、資格、何かの会員。テーマパークでは、年間パスポートが、飲み屋ではボトルキープが帰属意識を持ってもらえる典型でしょう。クレジットカードもそうです。
 これらは人にとって帰属意識になりうるものです。
 よりどころといえるかもしれません。人は、誰かに自分の存在を認めてもらいたいものです。そのためにも自分自身が帰属できる環境等が必要です。
 もしかしたら、幸せを感じることができる最低条件のような気がします。
(12)心と感性を豊かにするもの
 スピリチュアルという言葉がよく使われています。これも心と感性でしょう。もしかして、地球そのものが心と感性の塊なのかもしれません。そうであれば、地球を感じることが心と感性を豊かにしてくれるのかもしれません。これからお話をする「水」「緑」「光」「風」の4つを感じられる空間は、心と感性を磨くには絶対に必要になります。

 
 
 
 
 

 

第92号 BS「格言」 其の三十七前のページ

第94号 BS「格言」 其の三十九次のページ

関連セミナー・商品

  1. 社長のための「お金の授業」定期受講お申込みページ

    セミナー

    社長のための「お金の授業」定期受講お申込みページ

  2. 公私混合経営マニュアル

    公私混合経営マニュアル

  3. 「公私混合で考える《経営と蓄財》」

    音声・映像

    「公私混合で考える《経営と蓄財》」

関連記事

  1. 第53号 BS「格言」 其の二

  2. 第23号 中小企業の本当の消費税対策~その2~

  3. 第19号 融資はバランスシートで判断される

最新の経営コラム

  1. 第二十八話「二卵を以て干城の将を棄つ」

  2. 臥龍の業績アップ通信(2023年12月5日号)

  3. 第77話 今年下半期に私が買ったもの!

ランキング

まだデータがありません。

まだデータがありません。

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. 社員教育・営業

    第29話 成長課題 管理職の部下育成術(29)
  2. マネジメント

    第171回 『いやな人間に出会ったら…』
  3. 税務・会計

    第6回 不良在庫を毎年処分しており、生きた在庫しかない会社
  4. 教養

    第18回 『英語で論語』(著:霜村和久、イラスト:さとう有作)
  5. マネジメント

    逆転の発想(23) 新人の経験は邪魔(阪急グループ創業者・小林一三)
keyboard_arrow_up