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社長業

Vol.82 ”情報を太くする”と商売も太くなる

作間信司の経営無形庵(けいえいむぎょうあん)

  多くの会社で、特に営業部門で「日報」をつかっていると思う。最近は、紙からパソコンに切り替えたところも目立つが、情報を太くするという視点から、もう一回、仕組み、情報共有のやり方を見直して欲しい。
 
 情報の不思議なところは、受け取る側の問題意識や立場によって、重くも軽くも、リスクにもチャンスにもなる点だ。
 
 S社で実際に起こった一例は、営業のチームでの事。
 
 取引から自社にとっては少し難しい特注品の問い合わせが入った。担当営業マンとしては、心当たりの外注先3軒に連絡を入れてみたが、解決策が思いつかない。大量の注文数でもないので「やっぱり、ウチでは引き受けられい」と、お客様に電話。本人の中では、一件落着。
 
 ただ、残念なことに、日報には書いてはいなかった。
 
 後で、担当営業マンと社長が会話中に、ヒョイとそんな話が出て「何でオレに相談しないんだー!!」となったが、後の祭り。
 
 日報に書いていない方も確かに悪いが、日報に頼ってばかりいても情報は太くはならない。全社員に声を掛けて、自分の持っている情報を表に出さないと誰も気づいてくれないし、常に言い続けていないと、皆、すぐに忘れてしまう。
 
 別のK社では「今回の工事予算が300万円しかない。それ以上では、絶対無理」と営業マンが打ち合わせをしてきた。多くの社長が毎日聞くセリフである。しかし、現実には300万円では、採算割れしてしまう。社長が交渉をやり直し、結果420万の工事予算になった。
 
 報・連・相のミスリードは日常茶飯のように起こっている。
 
 社員一人一人は、皆んな毎日お客様と接していたり、取引先と話をしているので、最新の情報も持っているが、問題は、“オモテ”に出てこない事と、全社で共有できないことである。
 
 ましてや同じ会社でも、他部門との情報共有は、中小企業といえども、なかなかできていないのが現状だ。是非、社内に情報が下からも、上からも、外からも流れる仕組みをつくって頂きたい。
 
*  *  *  *  *
 
■情報共有の一つの解決法「児島流20分ミーティング法」を紹介する。
 
 経営コンサルタントとして、活躍中の児島先生は、営業の情報共有化に特に心を砕いておられる。
 
 20分間ミーティング法の主要項子は、
 
 ・部門内の情報共有(タテの流れ)
 
 ・他部門との情報共有(ヨコの流れ)
 
 ・口伝(直接会話)による情報交換
 
 ・朝一番に20分で決着をつける
 
 ・社員一人一人に情報の軽重の判断をさせない
 
 ・議事録をもとに、前日までの約束を実行してないと次に移らない
 
 ・仕事の多くを一週間単位で実行させる手を打つ
 
 ・基本は全員参加だが不在の場合でも社員が2名いたら必ず毎朝実施する。
 
 ・・・等。
 
 営業部門だけでなく、生産や工事、設計、経理・・・と他部門の社員が出席して毎朝行うために、よくある連絡ミスや、設計変更の不徹底が二ヶ月目くらいから減り始め、多くの会社で、クレームが減る、仕事のスピードが速くなる、そして何より会社内が明るくなり、売上利益が増大する。
 
 会社の規模が大きくなれば、役職を区切って実施したり・・・と工夫しなければならないが必ず効果のある手法である。定着し、習慣、当たり前になるまで若干時間がかかるが、社長が陣頭で実施して欲しい。
 
 社員はどういうわけか他部門の社員とそんなに話をしていない場合が多く、最初は強制しないと動かない。
 
 IT化の前にやることはいっぱいある。
 
参照:児島保彦氏の著書「当たり前から始めてみよう」(同友館)

 

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