前107号は「PDCAの達人技」で終わったが、実際に現場で使って成果をあげている人達は、もっともっと細かく地道な努力をしている。
二十年くらい前に、QCが一大ブームになったので「PDCAサイクル」の言葉や「QC7つ道具」を聞いたことのある社長や幹部は多いと思う。
戦略を実行する段階で、現場では困ったことや、問題がいくつも出てきて、その問題解決にPDCAの考え方を当てはめ、Plan Do Check Actionの4段階で考え実行する、と。
しかし、これでは実務では役に立たないと、TQMの達人「小田島弘先生」に教えられた。
少し長くなるが、詳細を記しておく。
(1)P(プラン)
Pのなかで、やるべきことは3つ。「目的は何か」「目標をどこにするか、基準数値の決定」「目的・目標を達成する方法を決める」
この3つを具体的に決めてないと次のDに移れない。
(2)D(ドゥ)
実行しなければならないが、命令するだけでは現場は動かない。
Pで達成する方法を決めたのであれば、当然新しいやり方や訓練をしないと計画通りの成果が期待できない。
ロールプレイング(営業の場合は特に)を実施しておかないと過去と同じやり方を繰り返す。そして実践行動と2段階が必要だ。
(3)C(チェック)
実行した後の成果を評価する訳だが、ここでも仕事は2つ必要だ。
まず、Dでの行動と成果をデータとして集計、測定する。
そして、Pで立てた目標と対比し、良かったか、そうでなかったのかを評価する。
目標が数値になっていないと、評価も情緒でしかできない。
(4)A(アクション)
対策・修正と解説されているが、実際には3つに分けて考えなければならない。
・うまくいった仕事は、そのまま標準化すると共に定義化を計る。
・目標と結果のズレが出た時は、原因究明と応急対策。
・そして、再発の可能性がある場合には、仕組みとしての再発防止策を実行する。
4つのPDCAといえども10項目の仕事から成り立っている。これを小集団に分けて各チームで課題を設定し、前107号の通り、愚直にやり続けることでしか、戦略の成果は出ない。
特に目的は何か?何のためにやるのか?目標設定と測定。
中堅・中小企業ではこの測定が苦手な場合が多い。
先日、訪問した企業でたまたまこのPDCAサイクルの表が壁に貼ってあったが、実行はされていなかった。
知っているだけでは成果に結びつかない。もう一回、足元から見つめ直してみよう。