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Vol.155 新年度の販売目標、売上利益計画を立てる時の落とし穴

作間信司の経営無形庵(けいえいむぎょうあん)

 そろそろ新年度4月を迎えるので、多くの社長、営業管掌役員が来期の販売目標を立てられたことと思います。
 
 大阪のD社(メーカー)でも、当然のことながら、強気、普通、厳しめの市場環境でのシュミレーションを経て、目標設定を行った。
 
 最初に出てきた販売目標は、リーマン後の立ち直りに自信を持ってかなり挑戦的な数字が並んでいた。数字を取りまとめたのが来期(4月から)社長就任する専務であったので、いい数字にしたいのは、当方も良く理解できる。
 
 しかしながら、「重大な見落としをしている」と苦言を呈さざるを得なかった。
事前に決算書を3期分預かって分析していたので重大欠陥は判っていたが、本人のためにと、あえて「意地悪な立場」を執っただけである。
 
(1) 回収と支払のサイトがずっと詰まっていて、前期、ついに逆ザヤになっていた。
 
 賢明な皆さんは、既にお解かりの通り、このまま売上を伸ばせばますます金詰まり状態を招き借入金が膨らんでしまう。しかも、金属系の原材料は昨今の世界的な過剰流動性から値上がり予測こそあれ、値下がりする観測は、まだ見えてこない。このままであれば、一生懸命頑張れば頑張るほど資金調達に走らなければならないと!
 
 聞けば2年前に、ある主要得意先の要請で、賃加工(材料支給)で行っていた部品の納品を、手配の煩わしさもあり自社調達に切り替えていた取引もあった。一見売上も増えるしリードタイムも段取りもスムーズになって表面的にはOKであったが、資金の流れ的には、全く悪手であった。
 
 特殊な、X素材に関しては、前金でないと納品できないモノまであり、その資金負担まで背負うこととなると、もっと粗利率を上げるか、納入先の大手に調達してもらうしかない。D社の加工技術は国内でもトップレベルにあり、もっと交渉の余地はあったはずであるが、営業責任者にそこまでの知識がなかったのが悔やまれる。
 
 しかし終わったことをいくら言っても始まらない。来期から徐々に再逆転を図るべく一社一社の取引を見直していくだけである。
 当該の専務には、ご理解いただき4月2日の事業発展計画の発表会に望んでいただくことになった。
 
 別の会社では、販売目標必達にむけ新規開拓を重要戦略に据えて全社で徹底した。実際に受注金額、取引会社数的には成果を上げたが、狙った業界が非常に支払いサイトの長い業界だっただけに資金的にかなり苦労を強いられた。業界の常識を新参者が一気に覆すことはなかなか出来ないのが現状である。
 これで外注先にいい顔をして、早めに払っていれば、いくら金があっても足りないのは当たり前である。
 福岡のN社長は、回収を早め事故をなし、資金運用で貸借対照表を良くするために、この3年間社長自ら主要得意先を尋ね歩き一軒一軒頭を下げ事情を説明し翌月末回収の徹底を図っている。いま約70%くらいが条件をのんでくれている。当然、それに合わせて支払いも早めているから仕入先様からの信頼も厚い。財務体質も大幅に改善中である。
 
 大事なこと難しい事に社長自ら取り組んでいく姿勢こそ、中小企業繁栄の原点である。
 
 数字の裏にある事実を冷静に見つめ、改善すべき点は素直に改め、情熱的に4月からの新年度に挑んでほしい。

 

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