先日、フロリダはオーランドで行われました世界ジュニアゴルフ大会にオブサーバーとして行ってまいりました。世界各国からジュニアゴルファーが集結し世界No.1を競う大会でした。
残念ながら日本人のチャンピオンはどの部門でも誕生しなかったのですが、いい線までいった子供たちは数名いるので今後がとても楽しみです。
さて、毎年このイベントでは必ずゲストスピーカーを迎えるのですが、今年はとても興味深い話だったので皆さんにもご紹介したいと思います。
その人物はBart Bryant(バード・ブライアント)というプロゴルファーです。
私も全く彼のことは存じませんでしたがアメリカツアーでも3勝しており、メモリアルと呼ばれる準メジャーにも優勝していることからいかに素晴らしい選手であるかはわかります。
ちなみに日本であれだけ騒がれ賞金王までになった石川遼君でさえまだアメリカでは1勝もできないのですからアメリカで勝つことがいかに大変であるかお分かり頂けると思います。
さて、このバート選手、プロになった頃はいわゆる「鳴かず飛ばず」の選手で食べていくのもやっとであり、結婚をしたものの家計は奥さんの収入に頼っていた時期もあったそうです。
そんな無名選手のターニングポイントが何であったか?この事を私が質問タイムの時に尋ねると、「自分に優勝していいと許可を出した」瞬間だったそうです。
「自分に優勝をしてもいいという許可を出した」というこの言葉。どの様な意味かと申しますと彼がプレイしていた時期は2000年の初頭で、タイガーウッズ選手が毎週の様に優勝していた時でした。
この時は、正直、多くの選手達はタイガーウッズ選手を倒したいと思うよりも2位を狙いにいく雰囲気が選手の中にあったそうです。
それでも皆、タイガーには別の意味で感謝していたそうです。それは彼の出現により賞金額は一気に高騰し、今まで食べるのがやっとだったバート選手もそこそこの成績で人並み以上の収入が得られるようになったからです。
しかし、そんな一時の安定を手に入れたバート選手に奥さんからのきつい一言“1回も勝たないで人生終わって本当にいいの?”
この一言は、バート選手の胸にグサリと刺さったそうです。
自分の何よりも理解者であり、味方でありサポーターと思っていた奥さんから今の自分を否定するような発言に怒りすら覚えた時もあったそうです。
しかし時間が経ち、その言葉はバート選手を否定しているものでなく、彼が勝つに値するプレイヤーという意味からの発言であると知った時から彼の考えは一変しました。
“自分が勝つに値する?自分があのタイガーを倒す?本気でそう思っているのか?”もう年齢も中年の域に入り始めたバート選手でしたが、しかし奥さんだけでなくコーチや周りからも同じようなことを何度も言われているうちに“もしかしたら自分は自分が思っているよりも凄い選手なのかもしれない”と思い始め、やがて本当に自分か勝てるに値するプレイヤーであることを心から信じるようになったそうです。
そして、そんな思いを抱くようになって、そのわずか数カ月後、準メジャーであるメモリアルトーナメントで何と本当にタイガーを抑え、見事に優勝を果たしたのです。
では、バート選手の何が変わったのか?
この話、技術でも根性論の話でもありません。単純に自分が自分に“勝っていいよ”と許可を出した話です。つまり今までが自分で「無理だ」と催眠をかけていただけのことだったのです。皆さんはいかがでしょうか?
もしかして自分に見えない鎖を巻いていませんか?自分自身が自分の妨害をしていませんか?今、あなたが越えられない壁を乗り越えるのに必要なのは知識よりも技術よりも「自分に許可を出す」ことかもしれません。
自分に許可を出したその日から、考え方、決断の仕方、話し方、全てが変わるかもしれません。自分への許可がまだでしたら真剣に考えてみてください。