最低賃金とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、会社は、その最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければならないとする内容であり、各都道府県、47件の「地域別最低賃金」が年ごとに定められます。
この「地域別最低賃金」は、無期雇用の従業員から有期雇用の従業員まで、事業場で働くすべての労働者とその使用者に適用されるものです。
「地域別最低賃金」は、全国的な整合性を図るため、毎年、中央最低賃金審議会が、経済実態に応じ、全都道府県をABCDの4ランクに分け、引上げ額の目安を提示し、地方最低賃金審議会が、その目安を参考にしながら地域の実情に応じた地域別最低賃金額(時給)改正のための審議を行っています。
この最低賃金は、(1)労働者の生計費、(2)労働者の賃金、(3)通常の事業の賃金支払能力を総合的に勘案して定めるものとされており、「労働者の生計費」を考慮するに当たっては、労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう配慮するとされています。
最低賃金を計算する場合、対象となるのは毎月支払われる基本的な賃金であり、実際に支払われる給料から賞与や残業代、その他臨時の手当・通勤手当・家族手当等の額を除外したものが対象となります。
平成27年度地域別最低賃金額改定の目安について、7月30日に全国加重平均は18円(昨年度は16円)加算と厚生労働省は公表しました。先のAランクは19円、Bランクは18円、C・Dランクの地域は16円と答申が取りまとめられました。なお昨年度はAランク19円、Bランク15円、Cランク14円、Dランク13円でした。
Aランクは千葉、東京、神奈川、愛知、大阪の5都府県、Bランクは茨城、栃木、埼玉、富山、長野、静岡、三重、滋賀、京都、兵庫、広島の11府県、Cランクは北海道、宮城、群馬、新潟、石川、福井、山梨、岐阜、奈良、和歌山、岡山、山口、香川、福岡の14道県、Dランクは青森、岩手、秋田、山形、福島、鳥取、島根、徳島、愛媛、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄17県となっています。
この目安を参考にしながら、地域の実情に応じた地域別最低賃金額を地方最低賃金審議会が審査し、10月には時給金額で発表します。ちなみにAランクの東京都の最低賃金は907円、大阪は857円、愛知は819円に、Bランクの静岡は783円に、Cランクの石川は734円に、Dランクの熊本県は693円になると計算できます。
時給精算のアルバイトから、日給月給のパート、嘱託社員。そして月給社員まで、御社の相当職の給料を金額計算し、地域別最低賃金額と比較してみてください。
1.時間給の場合:時間給≧最低賃金額(時間額)
2.日給の場合:日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
3.月給の場合:月給÷1箇月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
もしも支給実額が地域別最低賃金額を下回る社員がいる場合には最低金額までの引き上げが必要となることは言うまでもありません。