事務所で使う、わずか100円のボールペンも社長の考え方一つで、1000円にも10000円にも価値が変わってしまう。
数字とは絶対性があると同時に、見方によっては何倍もの価値を持つものに変ってしまう実に奥深いものだ。
厳しいデフレ経済が続くだけに生きた数字を駆使できる経営者が勝ち残る。何といってもデフレ下では「キャッシュがチャンピオン」だからだ。
人口わずか10万人。県庁所在地からJRの単線で1時間20分の地方都市で住宅会社を営んでおられるU社長は実に巧みだ。
社員10名で税前利益約1億円。びっくりするほどの高収益だが、売価が決して高いわけでもない。だいたい家がそんなに建っているとも思えない田舎町だ。(失礼!)
お施主様満足の非常に高い注文住宅をローコストで提供され新築シェアは大手を抑えナンバーワン。当然、今は無借金経営で不況どこ吹く風である。
競合メーカーのコスト構造を徹底的に調べ上げ、品質的にもデザイン、サービス・・・どれをとっても負けない強い商品を作り上げ地元で圧倒的な密着体勢を敷いておられる。仕事のスピードも他社を圧倒する早さである。
結果、税前で10%の利益を出しておられるU社長の言葉が「先の100円ボールペンの話し」である。
利益率10%の会社で100円のボールペンを買うには1000円の売り上げを獲らないとソロバンが合わない。これが1%であれば10000円の売上に相当してしまう。
説明されれば「それはそうだ!」ということになるが、常日頃全社員が100円のボールペンを意識して仕事をしているかと言えばそんなことはない。しょせん「100円は100円」ということになり会計処理的には問題はない。
しかし経営陣がこれでは絶対にいい会社、財務的に強い会社はつくれない。
しかもU社長は、ケチでこんなことを言ったり強制したりしていない。これを教え実行できることで、社員が一人の人間として成長し家長として社会人として立派になってくれることを念じながら、楽しく教えている。
更にすごいことは、同じような小規模の会社を地域を替えて数社経営している。また別の業種でも黒字経営を続けておられる。
本人は「いかだ」(川に木材を流すいかだ)経営と呼んで、旨そうに吟醸酒を飲みながら説明して、更に時流に乗る大切さの話しに及んだ。残念なことに12時を回ってお店が閉まってしまい、この続きは又の機会に!