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税務・会計

第49号 業務上横領

会社を守り抜くための緊急対策

 今後、従業員による業務上横領は増加するかもしれません。原因の一つは増税です。
 消費税増税や社会保険料の増加により、実質的な可処分所得が減少していきます。また、電気料金などの公共料金の値上げもあれば、自分の意思に基づかない支出がかさんできます。
 あとは、不正のトライアングル「動機・プレッシャー」「正当性」そして「機会」が整えば、横領はいつ起きても不思議ではありません。
 小さいことを言えば、会社で支給された文房具も持ち帰れば、横領になるのです。
 金品等を着服した場合、実行者は悪いのは当然ですが、社長が一番悪いと考えるべきです。
 社長は、犯罪者を作る会社にしてはなりません。

 ある会社の社員からの相談です。
 5年前に500万円業務上横領をしてしまいました。まだ会社に発覚はしておりません。しかし時間の問題かと思い切羽詰っているとのことです。
 横領の理由は、知人に騙されて名義貸しをしたことが始まりで、お金も要求され、両方で追い込まれてうつ病になるほど精神的に参ってしまい、目の前にあった会社のお金に手を出してしまいました。たった1回の出来事です。
 それ以降は、何もしていません。500万円の横領はまだ発覚していないのです。
 500万円を支払うお金は今はなく、見つかった場合、返済できないので困っている。
 このような内容でした。

 横領は犯罪なのでもちろん逮捕される可能性はあるのでしょう。それより、この方は、1回しかしておらず、本当に仕方がなかったと、自分の行為を正当化するだけであり、すでに、実行したことの反省はありませんでした。
 しかし、このままの状態ではまともに仕事や生活も出来ない為、社長に話をしてみました。
 驚いたことに、社長はまったく知らなかったのではなく、知っていたというのです。
 社員が、自らの口から言ってくれることを待っていたといいます。
 そして1回目の横領後、社内で犯罪者を出さないためにも、現金の保管等の管理を厳しくしたそうです。だから、2回目はなかったのかもしれません。
 この社員は本当に優秀であったこともあり、何とか立ち直って欲しいという思いだったと社長はいいます。
 このことを社員にお話をし、後日、正直に社長に話をしたようです。しかし、結末は、社長の思いは通じず、この社員は退職したそうです。
 社長の気持ちは分かりますが、横領が発覚したならば、すぐに話をした方が良かったのではないかと思う事例でした。

 カラオケ店は金品の着服の温床といわれていました。何もない方がおかしいくらいだと言う人もいます。それだけ、やりやすい環境なのでしょう。

 カラオケ店でアルバイトしている人からの相談もあります。
 同僚がお客様からお金を多く取り半分ずつわけていたそうです。レシートを見ないで清算するお客様も多いため、このようなことが可能になるようです。
 しかし、今回は、すぐにお客様が戻られて支払った金額とレシートとの差額はなんだと問い詰められました。
 店長もお店に来ていったんは差額分をお客様に戻し後日詳細を調べ謝罪に行くという形になりました。
 さすが店長だと関心したのですが、このあと、びっくりしたのは、店長も、この差額分を取っていたということです。
 こんなことってあるのでしょうか。誘われたら断る勇気はないかも知れません。他にバイトもなく、ここで働きたいのです。

 店長が犯罪に加担している場合は、なかなか発覚しないことも多いかもしれません。本部が本当にしっかりとした会社であれば、おそらく、発覚は時間の問題だとは思いますが、ずさんな本部も多く、店にまかせっきりのケースも多いようです。
 目標の売上を達成して、予定通り水揚げを納めれば何も言われないこともあります。
 また、お客様やカラオケ店が、わざわざ会社に連絡するということもないでしょう。
 ということは、言葉はいけませんが、本部の目標値を達成していれば、あとはやりたい放題になっているのです。

 あとは、そこでバイトをしている彼の人間性の問題になってきます。そこで働きたいがために犯罪に手を染めるか、そんなことをするなら、他を探すかになります。
 横領に手を染めている人に、止めてくださいということは、この場合は得策ではないかと思います。みんなグルなのですから。下手をすればこのバイトの人も仲間にされてしまうこともあります。
 ですから早めに辞めるべきです。

 

 

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