もうすぐ師走に突入ですね。街を歩くとどこでもクリスマスの飾りで一杯です。何気なく見上げた樹の灯りも、よく見たらクリスマスでした。クリスマスが好きなので嬉しいです。
さて、今回はチョコ案制度の9つの特徴のうちの「 3)会社の役に立つことや仲間が喜ぶことであれば、従来の改善提案の常識にとらわれずすべて評価する」についてご説明いたします。
最初に忘れてしまった方のために、もう一度、「チョコ案制度」の9つの特徴を列記します。
1) 大きな成果を求めない。
2) 独創性を求めない。
3) 会社の役に立つことや仲間が喜ぶことであれば、従来の改善提案の常識にとらわれずすべて評価する。
4) 結果のみでなく、プロセスも評価する。
5) 報告の用紙も極力簡素化し、「改善以前の状況」と、「改善後の状況」と「自分の氏名」の3点を書けばよいというメモ程度の内容で十分とする。
6) 一般の改善提案制度のように内容の等級付けをしない。
7) 報奨については1件100円前後の金額が妥当であると考える。
8) 1ヶ月に全員が最低でも1件の改善を実行して報告するといったルールを設ける。
9) 気軽な発表会を実施し、みんなで改善というものに慣れ親しむ。
それでは、3)の特徴についてくわしく解説します。
3) 会社の役に立つことや仲間が喜ぶことであれば、従来の改善提案の常識にとらわれずすべて評価する。
例えを一つ挙げます。「剥がれかけていた階段の滑り止めをしっかり貼りなおす」というような、これまでであれば改善とは認められにくい修理のようなことも、実行すれば会社のためになるのだから認めます。
もちろんここでいう修理とは、機械設備の修理といった専門的なことではなく、文中にあるように「階段の縁に貼ってある滑り止めがはがれかけていたのをボンドでしっかりと貼り直した」というような、日常によくある何でもない修理のことを言っています。
階段の滑り止めが剥がれていたら貼りなおすのは当たり前のことであり、いちいち評価する必要があるのか? と思う方もいらっしゃると思います。
しかし、会社の中に剥がれた滑り止めを貼り直す専門の人がいるとは思えません。もしいたとすればそれは、総務部門の人ということになるでしょうか。
しかし総務部と工場の場所が同じでなく別の建物であれば、総務の人は滑り止めが剥がれていることを即座に知ることはできません。
なぜそこが剥がれたかというと、そこが一番多く人が足を乗せるところだからです。ちょっとの遅れでその間に足を滑らせて怪我をする人が出たら取り返しがつきません。このようなことは発見した人が、その場ですぐに対応できればそれが一番いいことです。
もしご自分の家で階段の滑り止めが剥がれたら、気付いた家族の誰かがすぐ直すと思います。しかし、工場で同じことができるかというと難しいことが多いのではないでしょうか?
ほとんどの人が、危ないなあとは思っても、それを自分がやることとは考えないからです。なぜなら、会社という組織は上司から指示されたことをするのが基本であり、家では当然のようにすぐやることでも、会社の中となると「勝手にやっていいものか?」といった気持ちが生まれるので、結果としてすぐにはできないことになります。
しかし、チョコ案制度があると、「会社に役に立つことや仲間が喜ぶことであれば、従来の改善提案の常識にとらわれずすべて評価する」ことになりますから、気付いた人が実行することに違和感がなくなります。
そして順番にご説明して参りますが、特徴の 8)毎月全員が一件のチョコ案を実行するルールになっている場合は、剥がれをみつけたら、「しめた、今月はこれをチョコ案にしよう!」という感じで、みなさんがドンドンこのような問題を解決して下さるようになります。
そして、それを実行してくださった方を評価する理由ですが、会社の中には暇で時間を持て余している人はいません。皆さんそれぞれに忙しく働いています。
そういう人たちが時間を工面して滑り止めを直してくださるのですから、やはりその努力と勇気に対して評価をすることは当然だと思います。
そしてそれをチョコ案用紙に書いて提出してもらえば、上司の方は実行者の存在を知ることができ、また一声かけてほめてあげることもできます。
読者の方からよく受ける質問の中に、「部下をほめたいが、ほめるネタがない。どうすればいいか?」というのがありますが、このチョコ案制度の実行はまさにその答となります。
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