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製造業

第299号 来年のさらなる飛躍のためにやるべきこと

柿内幸夫─社長のための現場改善

 時間が経つのは何ともはやいものです。この文章が今年の「社長のための現場改善」の最終号となります。そろそろ「今年やったことを振り返り」、「来年何をするかを考える」タイミングです。
 
 具体的には「今年は何をしたんだっけ?」と思い出し、「来年は何をしようかな?」と考えることですが、最初が振り返りでP・D・C・A (プラン・ドゥ・チェック・アクション)サイクルのC(Check)、そして次が計画で同じくP・D・C・A サイクルのP(Plan) になっています。
 
 厳密にいえば、これはP・D・C・Aではなく「C・A・P・D 」ですが、サイクルということはぐるぐると回り続けることなので、何周かしているうちにスタート地点は関係なくなります。すなわち、これを続けるということはP・D・C・A サイクルを回しているということになります。
 
 P・D・C・A サイクはマネジメントサイクルとも呼ばれています。すなわち、この振り返りと計画をすることがマネジメントの実行ということになります。
 
 私はこのP・D・C・A を回し続けるマネジメントは、変化の激しいこれからの時代にとても重要なことだと思っているのですが、残念ながら実際には、かなり不十分な状態で扱われているように思えます。言葉は知っているけれどやっていないということです。
 
 もちろん、全くやっていないということではありません。例えば〝P〟と〝D〟はどなたもしっかりやっています。しかし次の〝C〟と〝A〟が不十分なのです。これは計画をして実行はするけれど、そこまでで終わってしまう、つまり「言いっぱなし」、「やりっぱなし」が多いということです。
 
 先日伺ったD社では、今年最後の指導会ということで、この一年間にD社で実行された改善のリストを見ながら1年の活動の振り返りをしました。席上H社長が、「こうやって見ると、わが社の改善レベルは上がってきたなあ!」とおっしゃいました。
 
 確かに、D社の改善のレベルは私が見てもかなり高いのです。実はその理由ははっきりしていて、D社では社長がみずから、現場で確実にP・D・C・Aサイクルを回しているのです。
 
 H社長は現場を巡回して、その月に実行された改善を自分の目で見て、実行した人とその改善について会話をしているのです。会話はシンプルで、社長は基本的に次の3つの質問をされます。
 
 まず、「なぜこの改善をしたのですか?」
 
 次に、「苦労話を聞かせてください」
 
 最後に、「次にしたい改善は何ですか?」
 
 現場で社長とこういう会話を交わしていると、最初は遠慮がちで小さい声だった方も声がどんどん大きく元気になってきます。自分の苦労話も聞いてもらったし、質問も自分が実際にやったことなのできちんと答えられます。
 
 そして社長がニコニコしながらうなづいてくれているので、遠慮しないでお願いもできたしアドバイスももらえたし…という感じで、次々とアイデアや具体的な実行方法が飛び出して改善のネタが尽きないのです。
 
 これはまさに、チェックとアクションと次のプランになっていると思いませんか?
 
 D社の改善も最初はそれぞれの人の身の回りの改善で部分最適レベルだったのですが、社長を通じて部門間の協力もできるようになり、かなり全体最適のレベルになってきました。
 
 さらに、5Sのレベルも上がりました。なぜなら、営業部門と製造部門が協力してお客様を感動させるようなショウルーム工場を作ると、注文が取れると分かったからです。
 
 読者の皆様にも、ぜひ今年の振り返りと来年の計画を立てることから、新しい年のP・D・C・Aサイクルを回し始めていただきたいと思います。
 
 今年一年、大変にお世話になりました。ありがとうございました。
 
 皆様、どうぞよいお年をお迎えください。
 
 
 

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copyright ゆきち先生 http://yukichisensei.com/

 

※柿内先生に質問のある方は、なんでも結構ですので下記にお寄せください。etsuko@jmca.net 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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