2.好印象を高めた次に必要なことは正確な事実を聞き取ること。これが、けっこう失敗しています。
あいさつの段階が終われば、次は事実の情報集め。あいさつ部分で好感を得たからと言って油断大敵。
きちんと最低限のビジネスマナーを実践し、心理学を多いに駆使しながら、本当の事実だけを集めましょう。
お申し出者の情報には本当の事実ではないこともたくさん混ざっているものですから。
【1】『事実』の情報収集は「5W1H×2」を「クッショントーク方式」で。
クレーム対応の際に私たちが最も知りたいことは、『製品やサービスに関わる今回の事実』はどうなのかということです。
(1)when いつ買いましたか?/いつその不具合に気づきましたか?
(2)where どこで買いましたか?/その現品はどこにありますか?
(3)who 担当者は誰でしたか?/担当者はなんと言いましたか?
(4)what 品名はなんですか?/なにを目的に選びましたか?
(5)way なぜ不具合だと考えますか?/なぜ、不満が発生しましたか?
(6)how いくらで買いましたか?/どうしてほしいですか?
というように「5W1H×2」に答えていただきながら『事実』の情報を集めていきます。
このときに工夫をしたいことは、クッショントークで運ぶということです。
クッショントークというのは、自分が聞きたいことや、話したいことなどの要件の言葉の前には必ず、
相手への気配りのことばをひとこと言ってからというルールのことです。
この話し方のルールは、特にクレーム対応の際に活用するということではなく、
他社の方やお客様や、目上の方に自分の用件を話したい時には実践すべき、
いつも身につけておかなければならない基本的なビジネスマナーなのです。
でも一見、なんらかの効果を見出すには地味すぎる行為と感じるかもしれませんが、
ところがどっこい、この話し方をするとしないとでは相手から得る信頼度に大きな差がでてきます。
私はこの話し方ができなかったために、たくさんのお客様から「あなたの話し方が気に入らないから、他の人と話しがしたい」
「他の人に代わってください。あなたと話していると、まるでクレーマー扱いされているようだわ」と言われて苦い思いをしました。
でも、やってみると、とても簡単ですし、すぐに自分の習慣になりますからしばらくはぜひ非意識的にやってみましょう。
クッショントークというのは具体的にはこんな話し方です。
「恐れ入りますが、いつお買い上げいただきましたでしょうか?」
「申し訳ございませんが、品名はどのようになっておりますでしょうか?」
「お客様、お買い上げいただきましたのはどちらの販売店でしたでしょうか?」
「お手数をおかけいたしますが、保証期限はいつとなっておりますでしょうか?」
「お急ぎだとは思いますが、結果が出るまで3日間いただけますでしょうか?」
相手があなたに対してたいへん対抗的な場合は、「サンドイッチトーク」も取り入れましょう。
クッショントークを基本にして、さらに要件の後ろにも気配りのある言葉を使うことを「サンドイッチトーク」といいます。
気配りのある言葉で要件を挟む(サンドする)ということですね。
具体的なサンドイッチトークはこんな感じです。
「恐れ入りますが、いつお買い上げいただきましたでしょうか?お願いいたします」
「申し訳ございませんが、品名はどのようになっておりますでしょうか?恐れ入ります」
「お客様、お買い上げいただきましたのはどちらの販売店でしたでしょうか?お手を煩わせます」
「お手数をおかけいたしますが、保証期限はいつとなっておりますでしょうか?お願いいたします」
「お急ぎだとは思いますが、結果が出るまで3日間いただけますでしょうか?心苦しいですが」
あいさつの次は、ただ、問題の製品に関する『事実』を聞いていくだけだと気楽に考えていたかもしれませんが、
その聞き方にも、小さなルールはあったのです。
中村友妃子
【出所・参考文献】
『クレーム対応のプロが教える“最善の話し方”』(青春出版社刊)