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経済・株式・資産

第43回「31年ぶりの貿易赤字に危機感を持とう」

会社と社長のための資産管理講座

2011年の日本の貿易収支が31年ぶりの赤字に転落しました。これは輸出と輸入の双方に原因があり、輸出に関しては大震災等により自動車輸出額が減少したことが主因で、輸入に関しては原発停止により燃料コストが増加したからです。

GDP対比の政府債務残高に関しては、日本が南欧重債務国を上回る借金大国でありながら、金融市場の信用を繋いで来たのは、ドイツと共に黒字の経常収支のお陰です。しかしその経常収支も、2005年以来、所得収支(投資収支)の黒字が支えています。経常収支を支える力が弱まった貿易収支が、ついに赤字となってその足を引っ張り始めました。

これが短期的な現象では済まない兆候も随所に見られます。「脱原発か縮原発か」も含めて、日本のエネルギー政策が定まらない現状では、中長期的に輸入の赤字要因が除去されません。製造業の海外移転が進むにつれて、輸出額の減少もボディブローのように貿易統計に打撃を与え続けるでしょう。

人口減少、高齢化、財政悪化に加え、高い法人税負担、超円高、電力不足という六重苦に耐えられる産業は、世界中どこにもありません。原因を放置すれば日本は衰退の一途を辿ります。現在は緩慢な衰退が続いていますが、日本発の国債暴落と市場混乱というシナリオも現実味を帯びています。

 新興国の追上げにより貿易赤字が巨額になれば、所得収支の黒字では足りずに経常収支も赤字に転落してしまいます。早ければ5年以内とも予測される『Xデー』が来ないように、海外で稼いだ収益を国内に還元して、国内産業の高度化と競争力強化を進め、結果として貿易収支を改善し、少しでも長く貿易収支も経常収支も黒字を維持できるよう期待します。

                                                 以上

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