今回は前回と同じフェーズ8の「 モノづくり 」です。その第3項目の『 ソフト面やハード面 』13項目中の第6項目である、分譲マンションや分譲戸建てでの商品計画上で結構なおざりにされています、「 ランドスケープ 」に関してのお話を致します。「 ランドスケープ 」の良し悪しは結構販売に影響を及ぼしますので今回は『 敷地内のランドスケープに癒しが必要。 』のお話を致します。
前回はフェーズ8「 モノづくり 」の『 ソフト面やハード面 』13項目中の第5項目である『 コンセプトに基づいた住戸プランは良い。 』に関してのお話を致しました。
「 モノづくり 」に於いて、住まいの『 ソフト面やハード面 』の充実を図るという事で13項目用意致しました。今回はその第6項目で分譲マンションや分譲戸建ての商品企画で割となおざりにされています『 敷地内のランドスケープに癒しが必要。 』と言う事を、皆様に具体的に詳しく御説明致します。
再度、前回のおさらいを致しますと「 モノづくり 」での重要な事である『 ソフト面やハード面 』に於いて分譲マンションで売れ行きをとても左右する『 コンセプトに基づいた住戸プランは良い。 』の内容を御説明致しました。
さて、今回も私が建築家として最も得意とする「 モノづくり 」に対する「 こだわり 」であります。分譲マンションや分譲戸建ての「 モノづくり 」に対する「 こだわり 」に於いて敷地内の建物周辺の「 ランドスケープ 」に依る癒し空間が如何に大切かの御説明致します。
基本設計時点で「 ランドスケープ 」デザインを良く致しませんと、建物自体のデザインにも大きな影響を及ぼします。
このコラムで、毎回申し上げていますが、最近の準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーの傾向は、良い商品を作って分譲しているディベロッパーと、販売力のみ強いディベロッパーとの「 2極分化 」が進んでいる様に感じられます。販売力のみに頼っているディベロッパーにとっては大変な時期が現在進行中でありますので私はとても危惧致しております。
更に、不動産業界は「 超大手、大手ディベの寡占化 」が進んでいます。これらの会社を凌駕する為には是非、分譲予定物件の「 モノづくり 」にはトコトン「 こだわり 」を持って、顧客に購入意欲をかきたてる良い商品を作る事が大切です。良い商品を作り続ける事に依り潜在顧客の信用を勝ち取り、不動産業界に於いて良い評判を立てて、更に会社の信用度を増せば「 ブランディング形成 」( ブランドを高める事 )になり「 超大手、大手ディベの寡占化 」に対峙できる様になる事です。
魅力的な良い商品作りを継続されていれば、一般消費者の社会で会社名や「 ブランド 」の知名度も上がりますので、先程申し上げました様に不動産業界の中で超大手や大手ディベロッパーと同様に世間は評価致しております。それでこそ、準大手や中堅ディベロッパーが生き残れる道だと思います。
その様になる為にも、今回のタイトルの「 モノづくり 」第3項目の『 ソフト面やハード面 』13項目中の最初の第6項目である『 敷地内のランドスケープに癒しが必要。 』の内容は分譲マンションや分譲戸建てで割とないがしろにされていますが、この事も売れ行きを大きく左右する重要な事なのです。
今回も私が今迄手がけました新規分譲マンションや建売戸建て等の設計業務の経験に基づいた大変貴重なお話です。準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーの方々がこれから行う、分譲マンションや建売戸建の商品企画・基本計画時点で是非「 ランドスケープ 」の設計にもこだわりをもって戴きたいと存じますので御説明をさせて戴きます。
その前に一言。私が今までの業務経験を踏まえて申し上げたい事は、準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーは、これからは絶対に『 製販一体 』の体制で分譲マンションや分譲戸建て等の商品企画業務を遂行して戴きたいと思います。その理由は販売担当者が顧客の生の声を商品企画会議に反映できるからです。
そして更に、今回の『 敷地内のランドスケープに癒しが必要。 』の具体的な内容が販売の方々にも良く理解でき顧客に対すつ販売ツールになるからなのです。
前置きはさておき、本題である『 敷地内のランドスケープに癒しが必要。 』をこれから具体的に御説明致します。
分譲マンションや分譲戸建ての敷地境界と建物が建っている間の空間を「 エクステリア 」と呼びこの空間計画を「 ランドスケープ 」と位置付けています。
欧米諸国では「 ランドスケープ 」の設計を専門に行う「 ランドスケープ・アーキテクト 」が大勢います。
我が国でも、最近は「 ランドスケープ 」の重要さが少しずつ認知され「 ランドスケープ・アーキテクト 」が十数名いるようです。ですが、未だにマンション等や戸建ては意匠設計者が「 ランドスケープ 」の設計を行っているのが現状の様です。
建築家としての私の約30年強に亘る経験では建物の雰囲気を生かすのも殺すのも「 ランドスケープ 」次第だと思っています。
私にとって特に忘れられない事は、東京の日本橋に建つ日本銀行本店新館の工事監理に携わった時の事です。新館の周囲の植栽計画図が先輩の設計者より渡されて立体的なスケッチパースを何枚も画かされ、挙句の果て休日に深大寺の植物公園まで行き美しい植物のスケッチをし、植物名を覚えた事です。
更に感慨深いのはその時に日本銀行本店旧館前のヒマラヤ杉の高さや地面の仕上げのピンコロ石の並べ方の検討の為のスケッチパースをも何枚も画かされ事です。昔の紙幣に刷り込まれ一生忘れられません。
話しを元に戻しまして、マンションや戸建ても如何に「 ランドスケープ 」の良さが大切かを詳しく御説明致します。
マンションや戸建ては人間が住む「 住まい 」です。「 住まい 」の「 ランドスケープ 」には癒しを演出する事が重要なのです。
「 ランドスケープ 」で癒しを演出するのに欠かせないのが植栽計画です。
一例ですが四季折々に咲く花を植えたりする事も癒しのツールです。
またマンション等ではポケットパークを配置して、幼児が安心して遊べる空間を作る事も癒しに繋がるのではないかと思います。
ここで一つ注意を致します。マンション等の「 ランドスケープ 」に噴水や池等は配置しない事です。
幼児は水の深さが3センチ以上有りますと、うつ伏せに倒れた時に命に関わる事態が起きるのです。過去にその様な事故を生じたマンションが有りました。
欧米諸国の植栽計画は人工的な幾何学模様で、日本人にはあまり好まれず癒されませんので、日本人には大自然を小さくした日本庭園的な「 ランドスケープ 」だと癒し効果が大きいと思われます。
同業他社と同じ様な「 ランドスケープ 」では超大手や大手ディベロッパー物件との差別化はできません。
何度も申し上げています様に、不動産事業で一番大切なのは売主の信用と顧客に対する配慮です。準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーにとって「 超大手、大手ディベの寡占化 」に対抗し勝つ為には顧客へ魅力や気遣いのあるマンションを作り続ける事です。
但し、毎回注意していますが、クレーム等で信用を落とすのは一瞬ですが、再度築くには最低10年はかかります。この事は肝に銘じて下さい。
次回はフェーズ8の「 モノづくり 」第3項目の『 ソフト面やハード面 』13項目中の第7項目である『 外廊下形式と内廊下形式のメリット及びディメリット 』に関してのお話を致します。
次回も期待して戴ければ幸いと存じます。
以上。