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《LLS》(Lifelong Single=生涯独身者)が激増中!
~50歳で男の4人に1人・女の7人に1人が一度も結婚したことがない国の行方~
日本の《LLS》が激増している。
《LLS》とは「Lifelong Single」の略で、一生、独身で過ごす男女の生涯独身者のことだ。
少子高齢化や孤独死が社会問題になって久しいが、その前段階で、《LLS》が日本において激増していることが注目を集めている。
「国立社会保障・人口問題研究所」の調査によれば、2015年10月1日時点で、50歳の男性の4人に1人、女性の7人に1人が、一度も結婚したことがないことがわかった。
40歳を超えると結婚できる確率は男女ともに10%未満、50歳を超えると結婚できる確率は男女ともに5%未満なので、ほぼそのまま、《LLS》(生涯独身者)になってしまう。
《LLS》の多くは、「非婚」(結婚したくない独身主義者)ではなく、あくまで、「未婚」(結婚したいがまだしていない独身者)のまま、一生涯、独身で過ごすしかなくなっているのだ。
《LLS》が激増している日本は、一体、どうなってしまうのだろうか?
●東京の女性の5人に1人は一生一度も結婚しない!?
厚生労働省が所管する「国立社会保障・人口問題研究所」は、5年に1度の国勢調査の結果を分析して、50歳の時点で結婚を経験していない人の割合を「生涯未婚率」として公表している。
その調査結果によれば、2015年10月1日時点で、50歳だった人のうち、結婚を経験していない人は、男性が23.3%で全体の約4人に1人、女性は14%で、約7人に1人に上った。
この数字は、5年前の2010年の調査結果を、男性が約3.2%、女性が3.4%上回り、1920年(大正9年)に国勢調査が始まって以降、男女ともに最高を記録した。
全国の都道府県別では、男性は沖縄県が最も高く26.2%だった一方、最も低かった奈良県は18.2%だった。
また、女性は東京都が最も高く19.2%で、実に東京都在住の女性の5人に1人は、50歳まで一度も結婚を経験していない計算になる。
なお、女性で最も低い福井県は8.6%で、9割以上の人が結婚を経験しており、地域によって大きな差がある。
●44歳以上の女性が妊娠する可能性はほとんどゼロ
もちろん、40歳・50歳でも結婚すれば、絶対に子どもが授からないとは限らない。
しかし、女性の妊孕力(にんようりょく=妊娠する可能性)は、主に卵子の老化により、30歳位から徐々に低下し、37歳から低下の速度は急速にアップする。
40歳で妊娠する確率は5%、そして、44歳以上では妊娠する可能性は1%を切り、ほぼゼロになってしまう。
《LLS》(生涯独身者)が男女ともに増加を続けているということは、少子高齢化にますます拍車がかかる一方であることを示している。
●日本人の半数以上に家族がいない《超孤独社会》が到来?
2016年には、結婚する男女のどちらか一方が再婚である割合は26%を占めるまでになっており、今後も増え続ける見込みだ。
また、晩婚化は進んでいるものの、30代後半や40代で結婚する人の比率も、近年、若干の上昇傾向が見られる。
しかしながら、《LLS》(生涯独身者)は、今後も増加することが予測されており、2030年には男性の3人に1人、女性の5人に1人が《LLS》になる可能性が高い。
2035年には、15歳以上の独身者人口と有配偶者人口が、ほぼ同数になると考えられている。
高齢化が急速に進行する中で、配偶者と離別や死別する人も含めれば、「日本人の半数以上に家族がいない」という《超孤独社会》が到来するかも知れない。
家族がいること自体が珍しい未来など来てほしくないし、そんな未来にしてはならない。
●独身男性は既婚男性より死亡率が2倍以上も高い!
《LLS》(生涯独身者)の増加は、日本だけではなく、欧米先進国、中国・韓国・台湾・香港など東アジアの国々にも共通する現象だ。
独身は自由である反面、喫煙や高カロリー食が引き金になるとされる生活習慣病に罹患するよりも、独身であることの方が短命の要因になるというデータもある。
独身男性は25歳以降のすべての年齢層で既婚男性より死亡率が高く、45歳~64歳の独身男性は同年齢層の既婚男性より死に至る確率が2倍以上も高い。
男性の独身者は、暴飲暴食や乱れた生活リズムに陥りやすく、糖尿病や心臓疾患、脳卒中など生活習慣病にかかりやすくなる。
また、若いうちは良いものの、齢を重ねるにつれ、生活に潤いがなくなり、ストレスをため込みやすい。
独身女性も、男性ほど独身と既婚の差は小さいものの、既婚女性より死亡率は高い。
また、肺炎による死亡リスクは、45歳から64歳の独身男性は同居者がいる場合の5.1倍、女性は5.9倍にも高まる。
その上、脳や心臓の疾患が急に悪化した場合、一刻も早く病院に駆け込まねばならないが、同居者がいなければ、発作が起こった際に救急車を呼ぶことすらできない場合が少なくない。
●独身でいる理由は「適当な相手にめぐり会わない」「結婚資金が足りない」
国立社会保障・人口問題研究所では、「若い世代への意識調査でも、『一生、結婚するつもりはない』という人が年々増えており、当面は結婚を経験しない人が増加する傾向が続くとみられる」と分析している。
しかし、一方で、同じ国立社会保障・人口問題研究所の「出生動向基本調査」(独身者調査)のリサーチ結果によれば、「いずれ結婚するつもり」だと考える未婚者(18~34歳)の割合は、男性が86.3%、女性が89.4%もあり、高い水準を維持している。
また、未婚者(25~34歳)が「独身でいる理由」の上位には、「適当な相手にめぐり会わない」「結婚資金が足りない」といった意見が多い。
●日本的経営と地域コミュニティの崩壊が男女の出会いがなくなった原因
「結婚資金が足りない」という未婚者が多い背景には、バブル崩壊後、日本的経営の象徴だった終身雇用・年功序列が消え去り、非正規労働者が増加して雇用の不安定化と低所得化が進んだ影響が大きいと思われる。
「適当な相手にめぐり会わない」ことの背景の一つには、都市部で地域コミュニティが崩壊し、若い男女の縁を結におせっかい役がいなくなったことがあるのではないだろうか。
50歳で結婚を経験していない女性が最も少ない福井県には、地域の「縁結びさん」(おせっかい役)の存在が知られている。
ピッタリだと思う男女を引き合わせることを趣味とし、生きがいにしているおばさん達が、今も活躍しているのだ。
そうして「縁結びさん」に引き合わせてもらって結婚した女性がおばさんになると、また若い男女を引き合わせる「縁結びさん」になる好循環が続いているからに他ならない。
「適当な相手にめぐり会わない」もう一つの理由には、低成長時代になり、職場に、毎年、男女の新入社員が入社しなくなった会社が増え、「職場結婚」が減っていることも挙げられる。
日本のすべての企業のうち、99.7%が中小企業であり、すべての正規雇用者の うち、69.7%が中小企業に勤めている。
多くの中小企業においては、新入社員を何年も採用しない会社も少なくないし、ましてや、新卒の定期採用など、もはや、大企業と一部の限られた企業だけのものだ。
同期や歳の近い適齢期同士の男女の新入社員が非常に少ない職場が増えていることもあり、「職場結婚」が減少しているのである。
●結婚情報サービスは人をスペックで判断されて勝てる一握りの男女のため
民間の結婚情報サービス業者も数多く存在するものの、利用するには高額の費用がかかる上に、年齢や学歴、勤務先、年収など、人をスペックで判断するしかないため、一握りの「ハイスペック男女」でなければ尻込みするのも当然だろう。
格差がますます固定化している昨今、婚活の戦場で勝ち組に成り上がるのは至難だ。
それに、一般的には誰しも出会い自体をお金で買いたいとは思わないし、最初から出会いを目的にするのではなく、自然な出会いを求めているに違いない。
地域の人口減少は市町村にとって死活問題であるため、行政もあの手この手で婚活イベントを開催しているが、一定の年齢を超えると参加しづらくなってしまうものが多い。
●《LLS》(生涯独身者)を減らす地域の秘策とは?
《LLS》(生涯独身者)を少しでも減らすためには、男性と女性が出会う場を増やして行かねばならない。
男女の縁を結ぶには、地域と職場における人の縁を結び直す仕組みづくりが必要だ。
そのための具体的施策として期待できるのが、各地の商工会議所主催による、業種・業界・企業の枠を超えた「新入社員合同入社式・研修会」である。
新入社員の人数が少なく、定期採用をしておらず、会社単独での研修会の開催が難しい、地域内の中小企業の新入社員を一堂に集めて開催されるものだ。
新入社員以外にも、研修会のみに参加したい従業員も参加できる会が多い。
参加する新入社員の年齢層は10代・20代が中心だが、50代・60代まで幅広く、近い年代ごとでテーブルにグループ分けされる。
首都圏でも、例えば、神奈川県の厚木商工会議所(中村幹夫会頭)では始めてから30回を数え、藤沢市商工会議所(増田隆之会頭)、小田原箱根商工会議所(鈴木悌介会頭)でも開催され好評を博している。
会社に同期の新入社員が少ない中で、同世代のさまざまな業種の新社会人同士が交流することで、絆を深め、地域への愛着と仕事への定着につながればとの意図で開催されているものだ。
もちろん、それによって企業の定着率は上がるに違いないが、懇親会や継続して同期会や研修会を開催し続けることによって、地域の男女の自然な出会いの場となる側面もある。
そういった動きを行政がバックアップして行くことが望ましい。
《LLS》(生涯独身者)を減らすには、地域と企業の再生こそがカギとなる。
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