この数字は、アセアン加盟10カ国(ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)全体の2011年の人口である(World Bank 調査)。
国連推計によれば、アセアンの人口は今後も増加し続け、2050 年頃には約7 億5 千万人に達する見込みだ。
アセアンは、この人口規模の大きさに加え、人口構成が相対的に若く、格段に生 産年齢人口が多いことから、今後の経済成長が期待されている注目市場である。
その中でもタイは、富裕層を含めた中間層以上の割合が他国よりも高く、早い段階での消費市場拡大に期待が集まっている。
そもそもタイと日本は、同じ仏教国で長い交流の歴史がある。王室・皇室間の
親密な関係もあり、伝統的に友好関係を維持してきたため、日本人に対して尊敬の念を持っている。
これは、ビジネスがスムーズに進む大きなポイントだ。また中国や他のアジア諸国と違って、日本仕様の経営が可能で、日本流の人材教育やコスト管理、システムを移植しやすいことも、企業の進出意欲を高めている。
つまり、日本人にとってタイは、居心地がよく、ビジネスがしやすい国なのである。
私は、今年5月に実施した「伊勢丹バンコク」の催事成功もあり、アセアンへの進 出拠点をタイ・バンコクに置いた。バンコクはヤンゴン、ホーチミン、プノンペンなどに、約1時間で移動できる地理的優位性があり、周辺諸国へのアクセスがいい。
また、産業規制や法律など、企業の進出先として必要な環境も整備されている。 中国やインドネシアなどで多発している労働争議も少なく、比較的ワーカーの質が高いことも一つの要因である。
昨年の大洪水は、タイ経済・社会に大きな傷跡を残したものの、その後は急ピッチに回復。この大災害をテコに、国を挙げて社会の安定と経済成長に向けて、前向きに取り組もうという機運が国全体に広がっており、政治情勢も比較的安定している。
このように、ビジネス環境が整っているタイ・バンコクに軸足を置き、世界の有望 市場であるアセアン諸国にリーチしていくつもりだ。アセアンは中国やインドと共に、今後もさらに経済成長が続くと予想されている。
すでに、約6 億人を有する巨大消費市場であるだけに、海外市場への参入を目指す日本企業にとって、その経済的存在感は、これから、さらに高まっていくはずである。