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- 第161号 8700万人
これは、博報堂生活総合研究所が昨年11 月に発表した、2013 年に向けた提言テーマ「総子化 ( そうしか)」にまつわる数字で、日本の「少子高齢化」の現状を、新しい視点で捉えたものである。
本来、政府統計による「少子高齢化」の“ 子”とは、未成年の子供を指しているが、博報堂総研は、これとは別に、自分自身の親が存命の20 歳以上の人を「成人子供」と定義。
総人口の約7 割のボリュームとなる<未成年の子供2,287 万人+成人子供6,407 万人≒8,700 万人>という合算数字を、広義の意味での「子供」として括り直し、新しいビジネスチャンスの可能性を提示している。
この「成人子供」の割合は、1965 年までに未成年の子供人口の割合と逆転し、高齢化と少子化の同時進行で、2010 年には総人口の約50%を占めるまでに至っている。
それと共に、成人子供の平均年齢が2010 年時点で32.8 歳、2030 年には36.7 歳と上昇することは確実で、この流れは変わることなく未来へと続いていく。
36.7 歳といえば、社会的に十分「大人」であるはずの年齢だが、日本は今、世の中を支える「大人」が「子供」であるという、新しい構造の社会へと変遷。近年では、40 代~50 代の子とその親という組み合わせが比重を増している。つまり、平均余命の伸びと共に、親子共存年数が約60 年に伸び、人生の3 分の2 以上を子供として過ごす時代へ突入しているわけである。
そうなると、「総子化 ( そうしか)」を想定した新たなビジネスチャンスが生まれる。その一つが、親子消費であり、3 世代消費だ。40 歳前後の子と60、70 代の親、あるいはプラス孫という組み合わせが増えるということだ。
かつて、親子消費の代表格だった「40歳前後の母親と10 代の娘」の消費と、「40 歳前後の子と60、70 代の親」の消費では、その質に格段の差が出るのは当然である。
博報堂総研は、この提言の中で、総子化時代のマーケティングアプローチとして2 つ提案している。一つは子供のポジティブ面から発想された新しいターゲット設定や消費行動。
もう一つは、親族のつながりを支援する新しいライフスタイルの実現や生活インフラの整備―である。
親子で、体力や資金、さらには知識や情報を互いに補い合うと、消費の質量やライフスタイル、生活環境が向上し、相乗効果を生む。その共有し合うニーズにビジネスチャンスがあるということである。
そうなると、この親子消費や3 世代消費は、年収や職業、住まいの形態等、従来の消費マインドに関連する、個人の属性だけでは推し量れない。
この新しい視点から捉えた、潜在性の高い新市場は、今後、通販消費においても、大きな意味合いを持つことになるだろう。ことがない。