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戦略・戦術

第179号 4000品目

社長のための“儲かる通販”戦略視点

 この数字は、ネット通販最大手のアマゾンジャパンが10 月から販売をスタートさせた、一般用医薬品( 大衆薬) の品目数である。
 
 政府が表明した薬のネット販売解禁を契機に、これまで扱ってきたビタミン剤などの「第3 類」に加えて、風邪薬や解熱鎮痛剤、胃腸薬など需要の大きい「第2類」まで品揃えを拡大。さらに効き目が強く、副作用のリスクの高い「第1 類」も幅広く扱う見込みだ。
 
 一方、厚生労働省は11 月6 日、ネット販売の新ルールを来春から適用する方針を発表。市販直後の薬は対面の発売から最長3年、ネット販売を禁じ、業者には最低1店舗で週30 時間以上の対面での販売時間を求める―としている。
 
 楽天の三木谷社長をはじめとするネット系企業は、「合理的な根拠がなく、対面とネットの間に売れない薬の差を設けるのはおかしい」として、このルールに反発しており、再び行政訴訟を検討する動きもある。
 
 現在、アマゾンは自ら販売せず、薬剤師が顧客からの問合せに対応できる出品者が販売するスタイルだが、これらの新ルールをクリアする準備が整い次第、書籍などと同じ形態で、直接販売を始める模様だ。
 
 アマゾンのサイトでは多くの企業が出品し、また商品比較が容易にできることから、あらゆるジャンルにおいて価格競争が激しくなっている。
 
 すでに家電をはじめ、多くの商品が実店舗の店頭価格を下回っている状況を考えると、アマゾンの参入により、大衆薬の販売価格の値崩れが一気に進行し、瞬く間にシェアを広げる可能性か高い。
 
 ただし、他の企業も手を拱いているわけではない。政府が大衆薬のネット販売を規制改革の象徴として位置づけ、ネット解禁を打ち出したことを受けて、マツモトキヨシやサンドラッグのほか、ビックカメラやヤマダ電機、そしてイオンなどの異業種がこの分野に参入。
 
 ヤフーもアスクルと共同でネット販売を始めている。
 
 大衆薬の市場規模は1 兆円だが、そのうちネット経由は2,000 億円程度まで拡大すると見られている。
 
 いずれにしても、圧倒的な品揃えと集客力、そして自社の物流網を張り巡らし、即日・翌日配送などのサービスを強化しているアマゾンが本格参入したことで、薬の販売競争は、熾烈を極める戦いとなりそうだ。
 
 
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