1、 自己資本は吹っ飛んでしまった!
「井上先生! 銀行の自己資本比率がBIS規制で8%以上だとか、国内営業銀行は4%以上だとか言いますが、安定性、安全性を示す指標なのに 低すぎません?・・・我々の会社を評価する時に30%以上だとか言っておきながら、低いとは思いませんか?」
と質問を受けました。
皆さん、銀行のB/S(貸借対照表)を見られたことはありませんか?
そして、井上式B/S図表にしてみてください。下図のようになります。
お客様からの預かり金が増えれば増えるほど自己資本比率は下がります。現金を持っていては商売になりませんので貸し付けて受取金利を受け取る のが仕事です。
北海道の銀行などは預かるばかりで貸し出す企業がないので困りますよね。
そこで、高利回りの債権や外国の債権を買って、為替や不良債権のリスクを感じながら運用を考えるのでしょうね。
今回のリーマンショック、トヨタショックで銀行は有価証券や不良貸付金の発生で大変なことになりましたよね。全総資産の痛み具合は10%や 20%できかないでしょう。それを監督庁から落とせ!となれば自己資本は吹っ飛んでしまったのでしょうね。どうするのでしょうか?と思っていたらちゃんと 対策があるのですね。
2、劣後債というもの
対策を考えれば資本金の増資(普通株、優先権)の発行しかないですよね。数年前も増資し、今や紙切れ状況で吹っ飛び、確実性からいっても又、 紙切れになる株式はもう、国内では誰も応じないでしょう。
そこへ今回、対策として劣後債券、永久劣後債券なるものを発行したのです。
その劣後債は負債性資本金調達とみます。自己資本補完項目として認めます。BIS規制でも合格としますという事になったのです ね。
大手メガバンク各三銀行は、ユーロ建でケイマン諸島のタックスフリーの国で、各々800億円ほど起債し、その金利は10%~15%ですもの ね・・・
私は、この金利に、あまりビックリしませんし、資本金であれば当 然ですものね。永久社債は元金は返さないのですからね。
3、中小企業も債権を発行して、自己資本比率を高めよう
私は、多くの中小企業に少人数私募債の発行をお薦めしています。銀行の私募債と違うのです。経営者貸付金みたいなもので金利が3%~5%受け 取れ、銀行定期予期より高利で安全です。受取利息は分離課税で20%です。
ある会社のB/Sを見ると少人数私募債を、経営者負担私募債と書き自己資本の部に入れている会社がありました。
どうか、少人数私募債を経営者陣が購入して有利子負債を減じてください。
少人数私募債は正に負債性資本金、自己資本補完項目勘定科目と見なされますよね。
銀行がやっているくらいですからそれも一方法ですよね。普通債権ではないですものね。