menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

教養

第137回『文豪、社長になる』(著:門井慶喜)

眼と耳で楽しむ読書術

出版不況で歴史ある雑誌が続々と廃刊になるなど、
近年雑誌を取り巻く環境は一段と厳しさを増しています。

そんな中、一際強い存在感を発揮しているのが、
“文春砲”でおなじみの週刊文春、及び文藝春秋。

いずれも文藝春秋社から発刊されていますが、今年が創業100周年とのこと。

そのメモリアルイヤーに登場したのが、今回紹介する

『文豪、社長になる』(著:門井慶喜)です。

『文豪、社長になる』(著:門井慶喜)/amazonへ

タイトルにある”文豪”とは、創業者の菊池寛。

代表作は『恩讐の彼方に』、『父帰る』など。
中高時代に、文学史(国語)の授業で、タイトルを暗記させられた
記憶があるのではないかと思います。

本書は、菊池寛の半生を、歴史小説で定評のある直木賞作家・門井慶喜氏が綴ったもの。

・文豪・菊池寛は、一体どんな経営者だったのか!?
・文藝春秋社は、いかに誕生し、成長していったのか?

といったあたりが、経営者やリーダーとしては、特に気になるところかと思いますが、
ポイントはそれだけではありません。

まるで、菊池寛を通じて、近代日本史の重要な出来事を体験できるよう!

芥川賞、直木賞の誕生秘話、満州事変、盧溝橋事件、
菊池寛を中心とした従軍記者、戦後直後の日本…

さらには、夏目漱石、芥川龍之介、直木三十五、川端康成、久米正雄、横光利一、石井桃子ら、
日本の文壇を代表する人々のエピソードも豊富。

さまざまな角度から楽しめる一冊となっています。

個人的には、

・当時、既に『改造』や『中央公論』などの人気誌がある中で、
 後発の『文藝春秋』が、なぜ成功できたのか?
・急成長を続ける中で突如訪れた倒産の危機をいかに乗り越えたか?

あたりが、特に印象に残りました。

文学ファンとしては、
菊池寛が人気作家として飛躍するキッカケとなった『無名作家の日記』、
大ベストセラー『真珠夫人』の秘話は見逃せないところです。

ビジネス書の棚にない本ですから、
本書の存在に気付かなかった方も多いかと思います。

経営、文学史、近代日本史が一気に楽しめる、この実り多き一冊、
今すぐ読んでみてください!


尚、本書を読む際に、おすすめの音楽は、
『北村英治のすべて』(演奏:北村英治)です。

『北村英治のすべて』(演奏:北村英治)/amazonへ

94歳の現役ジャズ・クラリネット奏者として
押しも押されもせぬレジェンド、北村英治氏。

先日、NHKのTV番組で特集されたこともあり、注目度が高まっています。

本作は、そんな北村氏のベストアルバム。
創業100年の文藝春秋社と94歳のジャズの巨匠のコラボ感覚で
お楽しみいただければ幸いです。

では、また次回。

第136回『ビジネスと空想』(著:田丸雅智)前のページ

第138回『栗山ノート2 世界一への軌跡』(著:栗山英樹)次のページ

JMCAおすすめ商品・サービスopen_in_new

関連記事

  1. 第160回『棚橋弘至、社長になる』(著:棚橋弘至)

  2. 第83回『感動の創造 新訳 中村天風の言葉』(著:平野秀典)

  3. 第37回 『VTJ前夜の中井祐樹』 (著:増田俊也)

最新の経営コラム

  1. 第49講 カスタマーハラスメント対策の実務策㊱『出るところに出る!』第1部

  2. 第192回 コミュニケーション上手になる仕事の進め方116『話の伝え方』

  3. 202軒目 「博多もつ鍋 もつ彦 なんばアメ村店 @なんば ~大阪名物の『もつ鍋』を初めて食す」

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. マネジメント

    第233回 赤字の大半は、安易な値決めから起こる
  2. 健康

    第8号 「なぜルーティーンにこだわるのか」
  3. マネジメント

    決断と実行(7)「夢の超特急」を走らせた執念
  4. マネジメント

    危機を乗り越える知恵(8)チャーチルが有事にとった組織運用
  5. 社長業

    Vol.19 まだ未着手であれば、自分の目と足で中国に触れてみること
keyboard_arrow_up