私はここで、とかく「オンナ、コドモ」という類の固定概念にとらわれがちな、
中年以上の経営者や管理職にある人に対して、改めて女性の戦力化と登用を提言したい。
現代の経営のカギのひとつは、「女老外(女性・老人・外国人)」の活用にあると
私は考えている。
実際、女性パワーの潜在力はかなりのものという実感を持っている。
総論として女性のさらなる活用を謳うのはよいが、では実際に、女性の活用に関して
どうした態度を示せばいいのか。
「あれは女だから女性(的な)の仕事を」などと決めつけないのが基本的姿勢だと思う。
男性でも感性に優れた人がいるのと同様に、女性でも理論性に長けた人がいる。
「男性だから」「女性だから」という判断ではなく、「一人の人材」として評価して、
一番適した仕事に就かせるようにするのがポイントだ。
そして、とりあえず、できること、やるべきことは、彼女たち一人ひとりの話を
聞くことだと思う。
現在の自分の仕事、将来の方向性についてどう考え、希望や悩みを持っているのか。
専門職として腕を磨きたいのか、ラインの管理職を狙っているのか。
会社や上司に対してどういう考え方をして、どんな問題を抱えているのか…。
もちろん、これらの声は、正しい経営のあり方を築き上げるうえでの貴重な意見になるし、
いますぐ解決案が提供されなくても、「話を聞いてもらった」というだけで、
彼女たちのフラストレーションのかなりの部分は片づくはずである。
そもそも、優秀な人材を戦力化するにあたって、男も女もない。
「××という一流大学を出ています」ということが、いったん会社に入ってからは
何の役にも立たないのと同じように、男だろうが女だろうが、実力こそがものをいう。
これが今どきの企業の流れだ。
「女性の社会的地位が低いのは男性の責任です」と、ここまで他責に言い切ってしまう
弱者の理論には若干抵抗がある。
しかし、それでもことさら「女性を」と強調するのは、
受け皿側の男性社会、中高年社会、そして経営サイドにも、
女性の社会的地位に対して相当の責任があることは明らかであるからだ。