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- 第163回 『リーダーとして「場」を仕切る能力』
「一本の矢は折れやすいが、三本の矢は折れ難い」
とは、戦国時代の武将 毛利元就の遺訓であり、格言には、
「三人寄れば文殊の知恵」という言葉もある。
しかし一方では、
「三人寄れば派閥ができ、派閥ができればリーダーが存在する」のが世の常。
また、
リーダーになりたいというのは、人間の自然で健全な欲求である。
古典的な言い方をすれば、A・マズローのいうところの
人間のもっとも高次元の欲求である『自己実現欲求』を実現するためには、
リーダーであった方が、追随者(フォロワー)であるよりも容易であり、
実現できる幅も広い。
これはビジネスシーンに限ったことではない。
大学のサークルやコンパや社会人同士の飲み会にしても、
いつしか誰かが《仕切り屋》としてリーダー役をはたすようになり、
その人物の「あそこにしよう」「この店にしよう」という言葉に
従うことが多くなる。
いや、砂場で遊ぶ幼児からして、必ずリーダーらしき幼児が存在し、
その幼児を中心として遊びの輪は一定方向で繰り広げられる。
とすれば、リーダーになれるかなれないかは、
生まれ持った性格や資質に左右されるのかという本質的な問題が出てくるが、
答えはいうまでもなく「ノー」である。
リーダーシップとは何か、リーダーシップを身につけるためにはどうすべきか、
などというと一見複雑で、難しい問題に見える。
しかし、身近なところでのリーダーや仕切り屋に共通する特徴を見出し、
具体的なハウツーとしてとらえてみれば、案外と核心は見えてくるものである。
では、仕切り屋的役割を担う人物に共通する特徴は何か。
それは、考え方や態度が『肯定的』であるということに集約されるのではなかろうか。
私は大学時代にボディービル部に入っていたが、
皆さんもクラブ活動のキャプテンになる人物を思い浮かべれば、
すぐにでも納得するはずである。
「どうせ負けるだろうが、練習しようよ」といったタイプのキャプテンは
ほとんど存在しない。大部分は、
「勝つための道はある。やればできる」といったタイプである。
部員の不平不満を集約しながら、目標達成に奮い立たせる情熱や責任感は、
肯定的な考え方や態度なくしては生まれてこない。
スポーツクラブのキャプテンに限ったことではない。
劇団や音楽クラブのリーダーにしても、
使命感や責任感、損得勘定だけでやれるものではない。
意見の衝突などにメゲずに2年も3年も持続できる人というのは、
根っこのところで肯定的な人である。
とするならば、企業でリーダーを目指すにしても、
まず、肯定的な考え方、態度を身につけることが肝要…ということになる。
そしてこれは、誰にでもリーダーへのチャンスはあるということを意味している。
リーダーになれるかなれないかに、『先天的なもの』がまったく関係ないとはいわない。
しかし、誰もが素養を備えており、本人の意識と努力次第でリーダーを目指すことは可能である。
後天的に『リーダーシップ力』を高めることはできるのだ。
世界有数の外資系エクセレントカンパニーで、社長職を3社、副社長職1社。
そんな私の経験から導き出した経験である。
全ての人に、リーダーになれるチャンスは広がっているのである。