仕事に誇りを持つにはセルフイメージ向上が不可欠
工場長は、主にパット印刷の印刷管理を行っており、不良が出ないように細心の注意をはらっています。また野球が好きということでみんなが考えた肩書は、「パット印刷の抑えのエース」。
品質管理の補佐を行っているスタッフは、責任者が見落としてしまった場合でも救い上げてくれる存在。小さな不良を狙い撃ちしてくれているということから「品質管理のスナイパー」。
パートの女性は、レーザー加工の工程で、こうしたらもっと効率がよくなるのじゃないかな、こういうふうにやった方がきれいなプログラムができるんじゃない?などと他の人にない発想を持っています。そこで、変幻自在だね、ファンタジスタや!という声があがり、「レーザーマーキングのファンタジスタ」と、それぞれの特性を表現した肩書ができました。
この取り組みを行った後、「あなたは、こういうことが得意だよね?」「こういうことが向いているんじゃない?」など、みんなで対話したことで、「私ってそんな風に見られていたんだと嬉しかった」とか、「みんなにつけてもらった肩書なので、その肩書に見合うような仕事をしっかりしていきたいな」などと社長に感想を伝えてくさたそうです。
この肩書、ネーミングを付けるという取り組みは、社内の雰囲気づくりとしても効果が見られました。せっかく付けた肩書なので、みんなのプロフィールシートを作り、肩書もいれて会社の入り口に貼っておこうかなと考えているとのことです。
工場長は、対外的に責任者であることが分かりますが、何のプロフェッショナルなのか?というところをお客さまに理解してもらうために、肩書やネーミングなどで表現することは大切です。お客さまに分かりやすく伝えることができるだけでなく、セルフイメージが高まります。
また、楽しいということは、最も重要です。生産性というものは、機械の能力を2倍3倍に高めるのは限界があります。でも、人が楽しくあること、嬉しいと感じること、認められているという実感、職場の雰囲気で生産性は一気に上がっていきます。
町工場や下請け企業で働く社員たちが、仕事に誇りを持ち、自分自身の力を最大限に発揮するためには、彼ら自身のセルフイメージを高めることが不可欠です。対話形式のアプローチを通じて、社員たちが自己肯定感を高め、仲間とのつながりを強化することで、やる気と情熱を持って仕事に取り組むことができるでしょう。
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