目的を変えず、手段を変える
2つ目のステップは、いまの手段を、リソースの少ない手段に変えてください。手段を変えることは、とてもハードルの高いことです。躊躇したり、億劫になったりするものです。慣れている手段は、ある意味、安定していると感じてしまうからです。
しかし、車が進んでいることを忘れないでください。いま会社は、直線道路から急カーブに差し掛かっているかもしれません。躊躇している時間はないかもしれません。すぐに、速度を落としハンドルを切らないと、タイミングを逃して道から外れてしまうかもしれないのです。今ビジネスは、加速のためのリソースを減らし、方向を変えるためのリソースに当てるときなのです。
このときに、注意点があります。それは、いまの手段が達成している本来の役割、そもそもの効用を変えないことです(私はこれをファンクションと呼んでいます)。これを変えてしまうことは危険です。車が機能しなくなってしまいます。最悪なのは、手段を変えず、目的を変えてしまうことです。これでは、事業目標を達成できないばかりか、ビジネスの目的地にたどり着けなくなります。
そのために必要なことは、役割と効用を、明確にしておくことです。私は、この部分が最も重要だと思っています。これが明確になっていれば、時代に合わせて、最適な手段に変えていけるからです。急カーブも上手く曲がれるということです。
リソースは、次への投資に
この2つのステップで、手段を変えることができれば、リソースの余裕を作ることができます。そのリソースがあれば、次への投資ができるということです。
会社経営を、車の運転にたとえてみましたが、もちろん、そんなに単純なものではありません。しかし、モノゴトを単純なものに置き換えて考えることは、時には必要です。置き換えたことで、手段や発想が見つかることも多いからです。
業務改善、経営改善を難しく思わないで、まずは、「誰のため?何のため?」の問いかけからはじめてみてはいかがでしょうか。
■横田尚哉(よこた ひさや)氏/ファンクショナル・アプローチ研究所 代表取締役社長
GE(ゼネラル・エレクトリック)の改善手法をアレンジして10年間で総額1兆円分の公共事業の改善に乗り出し、コスト縮減総額2000億円を実現させた実績を持つ業界屈指のコンサルタント。「誰のため、何のため」をもとに、ダイナミックな問題解決手法を駆使し短期間で数億円から数十億円の工事費を浮かせる実績が評判を呼ぶ。氏の改善手法は業種や規模を問わず、コスト削減はもちろん、品質向上や業務効率化、新事業開発、企業変革にも応用でき、コンサルティングサービスは半年待ち。
著書に『ワンランク上の問題解決の技術《実践編》視点を変える「ファンクショナル・アプローチ」のすすめ』(ディスカバー)、『問題解決のためのファンクショナル・アプローチ入門』(ディスカバー)、『ビジネススキル・イノベーション』(プレジデント)、 『第三世代の経営力』 (致知出版社)、『問題解決で面白いほど仕事がはかどる本』 (あさ出版)等多数。音声講話「儲かる会社をつくる技法」(日本経営合理化協会)、「業務の見える化」(日本経営合理化協会)も出講。
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