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社員教育・営業

第140回 コミュニケーション上手になる仕事の進め方61「新入社員に仕事の基本を教えていく前準備」

デキル社員に育てる! 社員教育の決め手

「仕事のすすめ方」
◆仕事を円滑にすすめる「コミュニケーションのスキル」◆
 

 前回は「職場のリーダーが社員一人一人と上手にコミュニケーションを取るための心がけ」についてお話しました。今回は「新入社員に仕事の基本を教えていく前準備」についてお話します。

毎年二月・三月頃、研修で伺う何社かの方々から、研修後に受ける質問があります。その日の研修とは直接関係のない分野の質問です。

「先生、少しお時間よろしいでしょうか。」
「はい、どうぞ。」
「あと一ヶ月もすると新人さんが入ってきます、どのように教えたらいいのでしょうか?」

春から一緒に働く仲間を迎えるワクワクと、自分が教えることになった責任と不安が入り混じった表情で質問されます。私はこの種の質問にはいつも間髪をいれずに答えています。
 「それは良かったわね。ご自分が入社してから今までの振り返りを、使命感を持って行えるビッグチャンスじゃない!自分の絶好のブラッシュアップ期間です。日々の業務の忙しさの中では、振り返りをしたいなと思っても、それを実行するのは中々難しいでしょ。このチャンスは良い意味で自分を磨けるわよ。では3つのポイントをお伝えします。」
 
3つののポイントは、
【1】新人さんと経験に大きな差があっても、人として同じくくりに自分がいることを強く認識する。信頼関係が築きやすい。
 
【2】先輩として伝えたいことをまず抑えて、新人さんにインタビューをする。その項目を準備しておく。例えば、
➀学生時代に一番楽しかったこと
➁学生時代に一番嬉しかったこと
③学生時代に一番悲しかったこと
④学生時代に一番つらかったこと
など、新人さんの人となりがわかるように質問を重ねる。さらに、

⑥この会社に入って何をしたいか
⑦この会社に何が提供できるか
⑧この会社の理念をどのように理解している 
⑨組織の一員としての振る舞はどのようにし
 たらよいか
⑩お客様にどのように接していこうと思うか
など、教えたいと思う心構えを盛り込む。
 
【3】基本態度は新人さんの前でして見せる。
・私の立ち姿はどうですか。10点満点中何点くらいですか。〇点だった理由を教えて下さい。どこを直したら10点になるでしょう?(以下もこれと同様に尋ねる)
➀私の表情はどうですか
➁私の声の出し方はどうですか
③私のお辞儀の仕方はどうですか
④私の言葉遣いはどうですか
⑤私の電話の出方はどうですか

など新人さんにあなたの一挙手一投足を集中して学ばせて下さい。もちろん、新人さんですから、完全ではありません。でもそこはあなたがきちんと説明をすればよいのです。説明する言葉については【1】から【3】までのどの項目にも➀段階②段階の準備をしておきます。その理由は、新人さんが一人一人違うからです。あなたがアドバイスをその場でチョイス出来ます。相手によって➀がすでにできていれば➀は褒め言葉として使います。そして➀の説明をはぶき➁を伝えます。例として、【3】の➀は例えば➀背筋をまっすぐにする、手の指は揃えて伸ばす、男性の足元は踵をつけてつま先は60度くらい開く・女性の足元は踵をつけてつま先は男性の角度より狭くする。②表情は相手の目を見てにこやかに(第一印象は視覚からの情報であるため。)などと書いておきます。
 
 自分が教えたいことを一方的に教えるのでは、新人さんがどうしても受身になってしまいます。3つのポイントを実行していただくと時間も労力もかかりますが、時代が変化している中で社員一人一人に求められるのは、今まで以上に《自ら考え行動できる社員》です。新人さんにそのような社員になっていただくには、先輩のあなたの粘り強いサポートが必要なのです。

 【1】から【3】までの準備が終わったら、パートⅡとして【4】会社の実務も同じように準備します。
 特に【3】・【4】の項目は、あなたが実際新人さんの指導をする前に、細やかな振り返りをして、より素敵なお手本を見せられるように練習する必要があります。その時の課題は「魅せる所作」です。母親が子供の誕生の前からいろいろ準備をするのと同じで、まだ見ぬ新人さん育ての準備を、楽しみながらなさってください。
 
 
■松尾友子氏
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