2.名刺の受け方・出し方・交換の仕方…相手の視覚を意識した所作と聴覚を意識した抑揚
まず名刺は、その方の大事な「分身」であることをしっかりご理解ください。すると自然に所作が丁寧になります。一般的な注意として、
① 名刺は両手で扱う
② 名刺に印刷されている文字を指でうっかり隠してしまわない
③ 名刺を持つ位置はアンダーバスト(大事な物は腰から下の位置の所作はNGです)
④名刺を持ってお辞儀をするときは名刺を持つ手の位置をアンダーバストに止め、腰だけを折る
など、①~④で対応します。
また、名刺は自分を名乗るために相手に渡すのですから、その順番も決まっています。年下から年上、目下から目上に差し出します。ただし例外があります。自分が訪問する側のときは、自分から名乗るという意味で前述したことを離れて、訪問者側が先に差し出します。
お伺いした私は決して怪しい者ではありませんと相手に自ら先に名乗って、相手に安心感を伝える必要からです。さらに複数で訪問した場合は、メンバーの中の上位者が相手の会社の上位者へ渡し、先に名乗ります。
【受け方】
① 肩の力を抜いて、背筋を正し、頭を天から引っ張られるような意識を持って立つ。
② 名刺は立った状態で両手をアンダーバストの位置でいただく。
➂指を揃えて伸ばすと綺麗な所作を印象づけられる。
➃笑顔で「頂戴いたします」と言いながら頂く。加えて頂く嬉しさが伝わるような声音と抑揚の音声表現が受け方ではポイントです。緊張のため無意識に小声だったり、口の開閉がしっかり出来ていないと第一印象で損をしてしまいます。
➄相手が「はじめまして。私は○○会社の△△です。よろしくお願いいたします」と名乗るのをしっかり聴きとる。
➅タイミング良く「△△様でいらっしゃいますね」と復唱する。この時相手の音声表現も聴き逃さないようにしましょう。例えば、名刺の活字が「山崎」と見えても、ご本人が「やまざき」とおっしゃったのか「やまさき」とおっしゃったのかしっかり聴き分けてください。(中島さんも「なかじま」「なかしま」の二通りです)さらに同じ苗字でも、アクセントが違うことがあります。
日本語のアクセントの型には、平板型(へいばんがた)・頭高型(あたまだかがた)・中高型(なかだかがた)・尾高型(おだかがた)などがあります。私は自分の苗字をマツオと平板型で言います。ところが地方によっては中高型で、マツオの「ツ」の音程を高く『マ「ツ」オ』様でいらっしゃいますねとおっしゃいます。その響きを聴いた瞬間、私は自分の苗字でないような気がしました。
それ以来、私は研修のスタートには、「手元に皆様の名簿をいただいておりますが、折角ですから皆様の生のお声でフルネームをお聞かせください」と申し、名乗り方の確認をしております。なぜなら皆様のアクセントや濁音・静音など含めた上で、私たち其々の名前は『固有名詞』と考えているからです。
コミュニケ―ションを取るファーストステップとして、是非その方の名乗り方を注意深く聴き、本人がおっしゃったのと同じように復唱しましょう。
【出し方】
受け方がきちんと出来れば、所作としての出し方は難しくありません。ただ、自分の名前は今まで何回も何年も名乗り続けていますから、無意識に名乗り方に丁寧さが欠けたり、早口で言ったりということが起こります。その点はしっかり気をつけましょう。
【名刺交換】
名刺交換で抑えておきたいことは、「交換は立ってする・人と人の間に何も挟まない」の二点です。この状態にない時は、言葉でお詫びしてから交換します。「座ったままで失礼します。私は…」や「テーブル越しで申し訳ございません。私は…」など。
また、交換する時の互いの空間距離にも気をつけます。近すぎたり遠すぎたりした時は、「初めまして」を言いながら前後に半歩前や半歩後ろにそっと動くと、交換がし易い距離を作れます。そして、どのパターンもwithスマイルです!
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