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戦略・戦術

第234号 1兆8,700億円

社長のための“儲かる通販”戦略視点

 この数字は、中国EC最大手のアリババグループが発表した昨年の「双11=独身の日セール」の取引総額(1,207 億元) だ。24時間開催されるこのキャンペーンの取引額は、ギネスにも認定されるほど世界から注目を集めており、その規模はアマゾンジャパンの年間取引総額にほぼ匹敵している。だが、伸び率は前年同日比32%増と、2015年の60%増と比較すると、大きく下回った。なお、モバイル端末経由の取引総額は989 億元と、全体の約82%を占めている。
 
 アリババグループの「天猫国際(T モールグローバル)」に出店している日本勢は、国別取引総額では、2015年1位のアメリカを抑えて、2016年は1位を獲得。日本の人気ブランドのトップ5 は、ユニクロ、パナソニック、シャープ、ソニー、SK-Ⅱの順だった。中でも1位のユニクロは、開始後3分弱と、Tモールの中で最速で約16億円(1億元)を突破。開始から10時間後には、1,800種類以上の商品すべてが完売し、最終的な売上は、女性アパレル部門で1位、Tモール全体で6位となった。
 
 ユニクロがこのような記録的な取引額となったのには、当然理由がある。それは、徹底した割引プロモーションと大きな話題となった工夫を凝らした動画サイトの展開、そして中国全土に400ある実店舗でシングルデー割引を実施して、オンラインとオフラインでイベントを盛り上げたO to O 戦略が成功したことなどが上げられる。また、アスクルの日用品サイト「LOHACO(ロハコ)」も、Tモールでの売上が前年同日比で約13 倍と躍進し、ユニチャームも「ムーニー紙おむつL54 枚入り」を60 万個以上販売するなど、数字を伸ばした。
 
 一方、売上が思うように伸ばせなかった企業もあった。2015年の独身の日は好調だったドラッグストア大手のキリン堂は、前年の売上規模を下回った模様だ。税制変更に伴う商品の税率アップやEMS の料金値上げ、そして円高などの要因により、割引を控えて利益優先の戦略に変更したところ、安い価格設定となっている同業サイトに顧客が流れたとみられる。同じくアニメやゲームのキャラクターグッズなどを販売するトーキョーオタクモードの売上も、微増に留まった。配送費の値上げや円高の影響を受けて、商品価格を前年より1.2倍高く設定したことが要因とみられる。ただし、価格施策により利益は前年比で約2.5倍増になったという。
 
 このように、独身の日セールの結果は企業により様々だが、普段からブランド価値を高め、独身の日に向けて話題づくりを行うなど、綿密にマーケティング施策を積み重ねた企業が勝ち組となることは間違いない。
 
 
 
 
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