継続雇用に際しては、雇用は退職金精算後の有期の労働契約であること、給料は担当する仕事の市場価値を念頭に置き、ノーワークノーペイ、時給から計算を積み上げる嘱託契約であると申し上げました。
この再雇用時の給料の根拠が仕事の市場価値だとすれば、それは担当する仕事の難易度であり責任の重さ、つまり責任等級で判断するのが最も合理的です。
(1) 定型的繰り返し的な仕事、特に熟練を必要としない単純軽易な作業であれば、その責任の重さはⅠ等級相当であり、時給にして約1,000円(Ⅰ-20号前後)がその市場価値と判断できます。
(2) 業務に関する普通程度の知識と経験にもとづいて、日常の事務もしくは営業サービス業務または技能的な作業を任せるのであれば、その責任の重さはⅡ等級であり、時給にして約1,200円(Ⅱ-20号前後)と判断できます。
(3) 業務に関する比較的高度の知識と経験にもとづいて、自己の創意と判断で、比較的複雑な日常の事務または専門的業務を任せたいのであれば、責任の重さはⅢ等級であり、時給約1,500円(Ⅲ-20号前後)と判断できます。
このように60歳定年後の仕事の中身と給与金額の判断できれば、次は本人の希望を含めて勤務日数や勤務時間を設定することになります。
A.就労形態を例えば週3日~4日とし25時間程度の勤務とすれば、その雇用はパートタイマーであり、時給がいくらであっても社会保険の適用除外者となります。加えて賞与を支給することも出来る上、継続雇用給付や該当年齢になれば年金の受給も可能となるメリットは注目に値します。
B.退職前と同じ40時間の一般職としての嘱託勤務であれば、担当する職位から判断して、以下のような月例給与が考えられます。
II.等級相当の仕事であれば1,200円×8時間×21日=201,600円
III.等級相当の仕事であれば1,500円×8時間×21日=252,600円
C.退職金精算後の嘱託再雇用であっても、管理職あるいは高度専門職としての役割を任せたい場合の基本給は退職時の80%~70%とし、年毎の契約更新することを賃金管理研究所はお薦めしています。ただし、その給与額が、該当等級の基本給初号を下回るときはその初号金額とし、月平均勤務時間数から給与額を決めることとします。賞与については成績評語に相応しい金額を支給すべきです。
以上のように退職後再雇用も責任等級準拠で考えれば、勤務日数や勤務時間に応じた給料を矛盾なく弾力的に、しかも分かりやすく設定することが可能となります。