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人事・労務

第39話 仕事ができる契約社員を正社員に登用したい

「賃金の誤解」

 比較的高額な商品を製造販売している会社の社長から解決策を教えて欲しいと、以下のような相談がありました。

 わが社では商品の性格上、有名デパートでの販売がかなりの割合を占めています。そのため契約社員をデパートの売場に派遣し、販売促進に充てています。そんな社員のひとりなのですが、商品の理解、段取り、接客そして成果どれをとっても高く評価できるAさん(32歳)が居ります。私としてはこのAさんを日給月給の立場から正社員に登用し、その売場を任せたいと考えています。 

 そこで、【1】所定内給与は32万円(基本給28万円)になること、【2】業績に応じて変わりますが賞与が支給されること、【3】仕事力を根拠に実力昇給があること、加えて 【4】退職金制度まで、分かりやすく説明しました。 
 好条件ですから喜んで受けてくれると思ったのですが、意外にもAさんは契約社員のままでよいと断ってきました。

 理由を聞くと、Aさんの時給は現在2000円です。8時間×22日×2000円で計算すると日給月給額は352,000円ほどになります。自分はこの金額で生活してきたので、正社員になると月々の収入が32,000円減ってしまう。それでは生活が苦しくなるというのが言い分でした。


 いままでどおり契約社員として勤めてもらうという選択枝もありますが、相談を受けた以上はベターな答えを提案しなければ社長は満足してくれません。

 Aさんの時給2000円は少々高い例外的な金額かも知れません。しかし正社員になると減ってしまう月々の32,000円をどこからか捻出しなければ話はまとまりません。32,000円×12ヵ月ですから年間384,000円の原資が必要となります。

 謎解きの様ですが正社員になると支給されて、契約社員にはない報酬はないものでしょうか。ありました。それは夏と年末に支給される賞与です。
 この会社の場合、成績評語に応じて成績比例分の賞与金額は変わりますが、基本給比例の賞与金額は年間1.5ヶ月分です。基本給280,000円×1.5ヶ月=420,000円のほぼ確定した賞与があることが分かりました。
 この社員だけの特別処置ですが、この基本給比例の賞与、年間420,000円の内384,000円を月割して調整手当として加算する。その代わりに賞与時には基本給比例金額をその分減額し、成績比例部分の賞与と併せて支給してはどうだろうか。

 これがコンサルタントとして、私が考える究極の回答でした。幸いこの提案は担当部長からAさんに伝えられ、予定どおり正社員として活躍してくれているとの連絡がありました。

 労働契約法・パートタイム労働法が施行され、契約社員を正社員に登用しなければならないケースが増えてきます。そうした事例の解決策のひとつとしてご参照いただければ幸いです。

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