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人事・労務

第70話 2015年の春季労使交渉は

「賃金の誤解」

「今の日本経済は危急存亡の時、不退転の決意でデフレから脱却しなければならない。賃上げの重要性に対する考え方は労使で一致している」との政労使の合意が報道されました。そうしたお膳立てを受けて、今年は定期昇給に加えて何%あるいは何千円のベースアップを実施すべきか、3月18日の集中回答日に向けて労使交渉が始まりました。
 
1.連合:2015春闘に挑む労組の姿勢
 2015春季生活闘争の展開については、「経済の好循環実現」のためには、GDPの6割を占める家計消費の拡大が必要である。そのために、定常的な収入金の引き上げが継続的に実施されなければならず、底上げにこだわり月例賃金の引き上げを求めていく。
 (1)賃上げ要求
  定期昇給相当分の確保に加えて2%以上の賃上げ要求を掲げる。
  (定期昇給分と賃上げ額を加えた要求は4%以上となる。
  また、賃上げ幅の議論だけでなく、賃金の絶対額を重視した
  取り組みを進めていく。
 (2)企業内最低賃金の取り組み強化
  すべての労働者の処遇改善のため、企業内最低賃金協定の
  締結拡大や水準の引き上げ、適用労働者の拡大をはかる。
 (3)一時金水準の向上・確保
  年収確保の観点も含め、水準の向上・確保をはかる。
 (4)非正規労働者の労働条件改善
  時給の引き上げについては37円を目安に引き上げを求める。
 
2.日本経団連:春季労使交渉に臨む経営側のスタンス
 賃金等の労働条件は総額人件費の適切な管理のもと、「個別企業労使」が経営実態を踏まえ、自社の支払い能力に即した決定が必要である。
 (1)賃金等の労働条件は、企業労使が徹底的に議論したうえで
  総額人件費の適切な管理のもと、自社の支払い能力に基づき
  決定することが原則である。
 (2)収益が拡大している企業は、自社のさらなる発展に向けて、
  設備投資や研究開発投資、雇用拡大等とあわせて、賃金引上げを
  前向きに検討
することが強く期待される。
 (3)ベースアップは賃金を引上げる場合の選択肢の一つとして考えるべきである。
 (4)賃金引上げを「年収ベースの引き上げ」ととらえ、定期昇給の実施や
  業績改善分の賞与一時金への反映に加え、諸手当の改善や
  若年層など特定層の賃金水準の引き上げ、子育て世代への配分を
  高めることも検討課題となろう。
 
3.東京都産業労働局集計による2014年企業規模別賃上げ状況調査では定昇にベアをあわせた賃上げ額は
   299人以下:5,561円 1.85%アップ
   300~999人:5,855円 1.98%アップ
   1,000人以上:6,507円 2.06%アップでした。
 
4.2015年度春闘の展開
 連合が交渉の軸足を「月例賃金にこだわる闘いを進め、底上げ・底支えをはかる」としている事もあり、2015年度の給与改定では、業績良好な企業は給与規程で定められている定期昇給に加えて、可処分所得の目減り分の一部を補填する程度のベースアップを検討することとなります。
 
5.賃金管理研究所・2015年の指針
 (1)業績良好な会社はベア(定額加給が基本)と同時に
  賞与原資の増額を検討してください。
 (2)業績が良好とまでは言えない会社であっても時間外勤務や
  休日勤務の削減等を徹底し、ルール通りの定期昇給は実施し、
  賞与原資等の増額を検討してください。同時に特定層の手当金額や
  家族(子育て)手当の改定も検討に値します。
 (3)現状を判断すれば、業績の回復はもう少し先になると
  考えられる場合であっても、定期昇給は実施した上で、
  適材適所の人事異動、組織の再構築を検討してください。

 

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