こんにちは!
1位づくり戦略コンサルタント 佐藤元相です。
京都 宇治駅から徒歩2分のところに宇治抹茶を使ったお菓子作りが得意なパティスリーYUJIというお店があります。
この店のある、京都宇治市は観光スポットしても認知度が高く、源氏物語の舞台としても全国に知られています。また平等院も世界遺産に認定されて世界から人が集まる人気のエリアです。
ところが、新型コロナウィルス感染症の影響で、令和2年の観光客数は前年比約45%減の242万5千人と激減し、地元経済は大きく打撃を受けました。
パティスリーYUJI オーナーの長谷川さんは「なんとかしないと店が潰れてしまう」とこれまでにない危機感を持ちました。しかし、冷静に現状を分析してみると、コロナ禍でも地元のお客さまの来店数は減っていないことに気がつきました。
原点回帰
売上げを上げるためにはどうすればいいのか?
長谷川さんはご自身の考えを話してくださいました。
私は、職人時代はおいしいケーキをつくれば、お客は増えると信じていました。自分だけが満足していたのかも知れません。
今は違うと感じています。 おいしいだけではお客さまの満足度を高めることは出来ません。
さまざまな要因があってお客さまに選ばれるのだと思っています。
それは、佐藤さんからランチェスター戦略を学び知りました。
商品を買うかどうか? どこのお店・会社から買うのか? だれから買うか?
全ての決定権は「お客さまが100%」持っていて、「売る側は0%」なのです。
お客さまが全てを決めている。こうしたことから一度商品を買ってくれたお客さまが、継続して商品を買ってくれれば、それは、新しいお客様を見つけたことと同じになる。
迷ったときは原点回帰して、方向性を決めることだと思いました。
「地元の客さまを中心とした商売を徹底しよう」 お客さまに喜びを感じてもらうことを徹底してやることを決意しました。 「お客さまと仲良くなるためにできることは何か?」と考えることが商売の第一歩だと思いました。
「誰から買うのか?」考えていて、はっとしました。
私たちは、商売で当たり前のことを、店で全くしていないことに気づきました。
「自分のことを知ってもらう」そのために名刺をつくることにしました。人間関係づくりで大切なことは自分のことを知ってもらうことと、相手を知ること。
そこで私だけではなくスタッフ全員の名刺をつくりました。
接客するお客さまひとり一人に手渡しすることでお客さまに顔と名前を覚えてもらえるよう対応しました。しばらくすると「この前に対応してくださった○○さんに逢いにきました」と再来店してくださるお客さまが少しずつ増えてきました。
名刺を使い、お客さまとの関係づくりをすること。 当たり前のことではありますが、他店でやっていなければそれは差別化になります。
コミュニケーションの量は関係づくりに比例する
「お客さまにもっと喜んでもらえるために何ができる?」と考えたのがデコレーションケーキ(お誕生日ケーキ)の予約の取り方と対話方法です。
お誕生日ケーキの予約をいただくとき、お客さまの思い入れは普通の買い物に比べてとても大きく膨らんでいます。その思いを受け入れることを何より大事にしようと考えました。
デコレーションケーキでどんな思いを伝えたいのか?じっくり聴くことにしました。サッカーボールを描いて欲しいとか、キャラクターを入れて欲しいなど詳しいご要望をお伺いするのに、30分を越えることもあります。
また、接客をしたスタッフが「担当は私です」とお客さまに自分の名前を伝え、受付からお渡しまで責任をもって対応することを伝えています。
その後、お礼ハガキを届ける仕組みを作りました。
担当者が手書きでコメントと日付と自分の名前を書いて2日以内に送付するルールをつくりました。全スタッフが隙間時間に書いてくれています。
現在デコレーションケーキの販売は年間1000件を越え、コロナ禍前と比べて2倍の販売量を達成しています。
商売繁盛の公式
最後に、商売繁盛の法則は2つのかけ算で決まります。
【繁盛店の取り組み】=【商品の品質や性能の満足度】×【販売する側の態度や対応の満足度】
商品の品質や性能の満足度と販売する側の態度や対応の満足度はかけ算ですから、両方とも一定水準を上回る必要があります。
しかし成果を早く出すには、優先順位をつける必要があるのです。 お客さまへの対応レベルを高めるのに特別な資金は必要なく、今働いてくれているスタッフで取り組むことができるので、優先に取り組んでいく必要があるのです。